ローコード開発プラットフォーム 3製品を徹底比較!(vol.2)
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ビジネス環境の変化が加速し、DX (デジタルトランスフォーメーション) やデジタル化といったキーワードが飛び交う中、スピーディーかつ柔軟にデジタルデータを扱う能力が求められています。こうした中、ビジネスニーズをいち早く具現化するための手段として注目を集めているのが、少ないコード記述でシステム開発ができるローコード開発です。
ローコード開発を実現するだけでなく、開発したアプリケーションを管理できるのが「ローコード開発プラットフォーム(Low-Code Development Platform)」です。
ローコード開発プラットフォームにはどのような製品があり、何ができるのでしょうか?
ローコード開発プラットフォームを使えば、誰でも簡単にシステム開発ができるのでしょうか?
本ブログでは、エンタープライズ向けのアプリケーション開発に適した3つのローコード開発プラットフォーム製品を解説します。
目次
ローコード開発プラットフォームとは?
先述の通り、ローコード開発とは、アプリケーション開発を行う際のコード記述(プログラミング)の量を大幅に削減することで、開発生産性を高めるための開発手法です。
このローコード開発を可能とする製品は世の中に複数存在しますが、その中でも、開発環境だけを提供するのではなく、開発したアプリケーションが稼働する環境としてデータベース/インフラを含めたプラットフォームとして提供する製品のことを「ローコード開発プラットフォーム(Low-Code Development Platform)」と言います。
ではなぜ、ローコード開発プラットフォームが注目を集めているのでしょうか?
そのひとつにDX (デジタルトランスフォーメーション) の推進が挙げられます。変化の激しい今、現場のビジネス要件に対して、迅速かつ柔軟に対応する必要が生じています。特に2020年以降は、コロナ禍で変化のスピードが加速した結果、DXへの注目度がさらに高まっています。
2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」で指摘しているDXの推進を阻む課題として、「レガシーシステムの課題」 「IT人材不足の課題」 「ユーザーとベンダーの関係性の課題」の3つが挙げられています。
ローコード開発でこれらの課題をすべて解決できるわけではありませんが、企業がDXを推進する中で、有効なツールのひとつとして脚光を浴びているのがローコード開発プラットフォームなのです。ローコード開発プラットフォームを活用することで、企業のシステムライフサイクルコストの削減、アジャイル開発およびDevOpsを実現できます。
では、ローコード開発プラットフォームにはどのような製品があるのでしょうか?
エンタープライズ向けのアプリケーション開発に適した3つのローコード開発プラットフォーム製品をご紹介いたします。
ローコード開発プラットフォーム 徹底比較 ①OutSystems(アウトシステムズ)
OutSystemsは、モバイルアプリケーションやWebアプリケーションの超高速開発を実現できるローコード開発/運用プラットフォームです。アプリケーションのライフサイクル全体のスピードと変化への順応性を劇的に向上させることができます。
開発元のOutSystems社は、2001年にポルトガルで創業し、現在は本社をポルトガルとアメリカに置くソフトウェアベンダーです。2017年には日本法人を設立しています。
同社の提供するOutSystemsは、2021年現在、87カ国、22業種で数千社の採用実績がある世界でも有数のローコード開発プラットフォームであり、日本国内でも製造業、建設/エンジニアリング、金融、輸送機器/物流、ITなど100社以上の導入実績があります。
OutSystemsは、「直感的な操作でアプリケーションをデザイン」 「ワンクリックで動作するアプリケーションを生成」 「要求スピードに応えるチカラ」の3つの特長を持つローコード開発プラットフォームです。豊富なテンプレート・パーツ利用してデザイン性の高いUIを実現し、BTP(ビジネスプロセステクノロジー)を活用し、業務プロセスに沿ったアプリ制御を作成することができます。
そして何といってもユーザーにとって最大の機能は、AIを利用したアシスト機能です。何百万もの事例を学習済みのAIが、開発をアシストしてくれます。開発中のロジックから推定される次のアクション候補をAIがサジェストし、典型的なロジックを組み上げる場合であれば、候補を選択するだけでロジックを組み上げることができます。このAIアシスト機能により、経験の浅い若手エンジニアが迷わずに開発を進められ、プログラム品質が向上できるのです。従来の開発プロジェクトに比べ、3.5倍から6倍の生産性を上げた実績があります。
AI、クラウド、DevOpsを融合したOutSystemsは、超高速開発を実現する新しいローコード開発/運用プラットフォームと言えるでしょう。アプリケーションのライフサイクル全体のスピードと変化への順応性を高め、システム開発の生産性と品質を向上させてくれます。
OutSystemsについては、「OutSystems(アウトシステムズ)とは? ~メリット・デメリットや事例をわかりやすく解説~(vol.27)で詳しく解説しておりますので、是非ご覧ください。
※参照元URL:https://www.outsystems.com/ja-jp/
ローコード開発プラットフォーム 徹底比較 ②Salesforce Platform(セールスフォースプラットフォーム)
Salesforce Platformは、Salesforceアプリケーションが構築されており、セールスフォース製品と連携させカスタマイズすることもできます。AppExchange(アップエクスチェンジ)のアプリやコンポーネントを活用すれば、他のシステムと統合できます。
「ローコードでアプリケーションを開発できる」 「業務プロセスのデジタル化を実現する」 「迅速なマーケット展開を支援する」 「統合と接続」の4つの特長を持つローコード開発プラットフォームと言えます。
そして、AI機能「Einstein(アインシュタイン)」を活用して、開発できることが強みです。myEinsteinサービスを使い、AIを搭載した独自のアプリケーション開発ができます。AIから世界動向を把握できるビジョン機能や、音声(対話)による操作の効率化を機械学習・自然言語理解・画像認識で深められます。モバイル機能はスマートフォン活用による生産性向上を実現し、セキュリティ機能はプラットフォーム暗号化、イベントモニタリング、項目監査証跡を実装できます。
その他にもブロックチェーン、プライバシー強化のためのID認証情報管理、顧客とのコミュニティ、プロセス自動化のためのフロー、開発を効率化するビルダー機能を搭載しており、ローコード開発をトータルで支援してくれます。
Salesforce Platformは、ビジネスで活用できるアプリケーションをコンプライアンスやガバナンスをシームレスに組み込みながら、優れた顧客体験を拡張できるローコード開発プラットフォームです。
※参照元URL:https://www.salesforce.com/jp/products/platform/overview/
ローコード開発プラットフォーム 徹底比較 ③Microsoft Power Platform(パワープラットフォーム)
Microsoft Power Platformは、大きく4つからなる構成するサービスを組み合わせて、ビジネス ソリューション全体を構築できるローコード開発プラットフォームです。4つの構成は以下の通りです。
1. Power Apps(パワーアップス)
「誰もが構築できる」 「コラボレーションの合理化」 「適応力」の3つの特長を持つローコード開発ソリューションのひとつです。
自動化ワークフロー作成機能、多くのデータソースへの接続機能、ダッシュボードへのアプリケーションを埋め込みこともできます。
Power Platformの中ではアプリ作成を担当する役割であり、ソフトウェアのすばやい構築が可能です。
2. Power Automate(パワーオートメイト)
「生産性を高める」 「素早い自動化」 「最先端へ」の3つの特長を持つローコード開発ソリューションのひとつです。
RPA(ロボティックプロセスオートメーション) とDPA(デジタルプロセスオートメーション (DPA) の機能を使い、組織プロセスの自動化を実現できます。
Power Platformの中では、RPAを担当する役割であり、手作業の業務プロセスを自動化することが可能です。
3. Power Virtual Agents(パワービジュアルエージェント)
「コーディングいらずのチャットボット構築」 「顧客対応の改善」 「生産性の改善」の3つの特長を持つローコード開発ソリューションのひとつです。
チャットボット構築のために、構築済みの Power Platformコネクタ経由でデータソースと統合でき、Power Automate で作成したボットでアクションを起動することもできます。
Power Platformの中ではチャットボット作成を担当する役割であり、コーディングや AI の専門知識は不要であり、顧客や従業員向けの対話型のチャットボットを簡単に構築できます。
4. Power BI(パワービーアイ)
「リアルタイムデータの活用」 「組織全体のデータ分析」 「信頼性を高める」3つの特長を持つローコード開発ソリューションのひとつです。
BI(ビジネスインテリジェンス)で意思決定をするためにPower Apps、Power Virtual Agents、Power Automateと連携しデータを取得します。
Power Platformの中ではBI構築を担当する役割であり、チームが適切な対応できる情報を提供できます。
このようにPower Platformは、1.アプリケーション作成、2.RPA、3.チャットボット、4.BIの4つの構成からなるローコード開発プラットフォームです。マイクロソフトが多くの企業に導入実績を持つOffice 365、Dynamics 365、Azureクラウドの他のアプリとシームレスに接続できることも強みです。
※参照元URL:https://powerplatform.microsoft.com/ja-jp/
まとめ
今回は「ローコード開発プラットフォーム 3製品を徹底比較!」と題し、エンタープライズ向けのアプリケーション開発に適した3つのローコード開発プラットフォーム製品の徹底比較をしました。ローコード開発プラットフォームには、それぞれの特長や強みがあることをご理解いただけたかと思います。
最新のデジタルテクノロジーに対応した製品を選定することも重要ですが、ローコード開発プラットフォームの「カバー範囲や導入規模」が、「自社の要件や利用目的」とマッチしているかを十分に検討することも忘れないでおきましょう。
ローコード開発プラットフォームは魔法の杖ではなく、システム領域のカバー範囲は広くても、全てのシステム領域に適合できるわけではありません。大切なのはローコード開発をどの領域のシステム開発に活用するかであり、そのためには事前にシステム機能要件やセキュリティ要件などの確認/整理が必要となります。
まずは、自社の要件や利用目的を整理しながら、様々なローコード開発プラットフォームを比較検討すべく、並行して各社のウェブサイトやダウンロード資料から情報を集めてみてはいかがでしょうか。
そしてある程度の情報を整理ができたら、ローコード開発ベンダーに問い合わせし、相談してみましょう。みなさまが望む新しいシステムに合った、ローコード開発プラットフォームに出会えることを祈っております。
本ブログは、2021年10月25日時点の情報をもとに作成しています。ローコード開発ツールに関する詳しいお問い合わせは、各ローコード開発プラットフォームのウェブサイトからお問い合わせください。