OutSystemsの主要なIDE上のツールやSaaS型の開発支援ツールとは?(vol.25)

  • 公開日:2024年04月08日(月)

OutSystemsは、開発者のPC(WindowsもしくはMac)に、「Integrated Development Environment(以降、IDEという)」と呼ばれる統合開発環境をインストールすることで開発作業を行います。IDEは、テキストエディタやコンパイラなど、プログラミングをするために必要とされるソフトウェアが統合された開発環境のことを指します。
本ブログ記事では、OutSystems開発で利用する、IDE上のツールの一つである「Service Studio」と「Integration Studio」の主な特徴を、一般的なシステム開発と比べながらご紹介します。
また、OutSystems社がSaaSとして提供する開発支援ツールについてもご紹介します。

OutSystemsで最もよく使うIDE上のツールとは?

Service Studio」とは、OutSystemsのアプリケーションの作成/変更/デプロイを行うことができるビジュアル開発ツールで、OutSystemsで最もよく使うIDE上のツールの一つです。
Service Studio」は、ビジュアル開発環境を提供し、コーディングの必要性を最小限に抑えることができます。開発者は、UI、ビジネスロジック、データモデルを簡単に作成し、アプリケーションの開発を迅速かつ効率的に行うことができます。

UIは、予め用意されたコンポーネント(入力エリアやボタンなどの部品)を画面上に配置することで、実際の画面に近いイメージを確認しながら実装することが可能です。

ビジネスロジックは、サーバ処理とクライアント処理それぞれを、フローチャートのように組み立てることができます。条件分岐(If、Switch)や繰り返し処理(For Each)、代入(Assign)のようなロジックの組み立てに必要な部品と、標準APIやForgeによって提供される再利用可能なロジック部品を組み合わせることで、かなり複雑なロジックもローコードで表現可能です。

また、データモデルは、エンティティ(表)とアトリビュート(項目)を定義することで、OutSystemsにデータを保存・参照することができます。エンティティを作成すると、データのCRUD(Create(作成)・Read(読取)・Update(更新)・Delete(削除))アクションが自動的に生成されるため、クエリをコーディングせずにデータ操作を実装することができます。また、「Aggregate」機能では複数のエンティティの結合や条件指定、集計、ソートなどの処理をローコードで実現できます。

さらに、「Service Studio」上でCSS/JavaScriptやSQLによるコーディングも可能であるため、ローコードで表現が難しいロジックを実装することも可能です。

OutSystemsで外部サービス/データベースと連携するためのIDE上のツールとは?

Integration Studio」とは、OutSystemsで外部のSaaSやデータベースと連携するためのIDE上のツールです。「Integration Studio」を使うことで、Extensionモジュールの作成を行うことができます。Extensionモジュールでは、他のシステムのデータの収集や更新を簡単に実現することができるため、OutSystemsのアプリケーションと外部システムの間に必要な橋渡しをすることができます。
その他、C#をコーディングして、OutSystemsのサーバ処理ロジックとして組み込むことも可能です。外部サービスとの連携や特殊なデータ変換が必要な際など、C#のライブラリを利用したプログラミングが可能であるため、拡張性に優れています。

OutSystemsのIDEと連携することで開発効率を向上するSaaS型ツールとは?

OutSystemsには、OutSystems社のクラウドサーバとIDEを接続して利用可能な、様々なSaaS型の開発支援ツールがあります。これらのツールは、ライセンスを購入しているお客様で、ネットワークの構成要件を満たしていれば、どなたでも利用することができます。
次のようなSaaS型の開発支援ツールは、アプリケーション開発を効率化し、開発者がアプリケーションを作成する際に役立つ機能を提供しています。

  • AI Mentor Studio
    AI Mentor Studio」とは、AIによる環境全体のアプリケーションの品質分析を行い、ベストプラクティスを提供してくれる、SaaS型の開発支援ツールのひとつです。技術的負債を解消する「AI Mentor System」に含まれるツール群の1つであり、アーキテクチャ標準に準拠できるようサポートする「AI Architecture Mentor」や、パフォーマンス改善のアドバイスをしてくれる「AI Performance Mentor」、アプリケーションの技術的負債を減らす提案を行う「AI Maintainability Mentor」、セキュリティ面の向上を支援する「AI Security Mentor」の機能を提供しています。
    AI Mentor Studio」では、開発したアプリケーションをAIによって診断することができ、アーキテクチャの修正や、コメントの追加・リファクタリングが必要な箇所を自動的に提案します。これによって、アプリケーションの保守性が向上し、開発者のスキルに依存せず、ベストプラクティスに準拠した開発が可能になります。

    *ご参考ブログ:OutSystems AI Mentor Studio とは? ~AIが技術的負債を自動検出して解決方法を提示~(vol.20)

  • Integration Builder
    Integration Builder」とは、OutSystemsで外部のSaaSやデータベースとのコネクタを手軽に作成するための、SaaS型の開発支援ツールのひとつです。Webブラウザ上で、連携したいサービスと処理内容を入力することで、連携部品を作成することができます。作成した連携部品は、自社のOutSystems環境にインストールされ、再利用可能な部品としてアプリケーションに組み込むことができます。
    OutSystemsでは、従来「Integration Builder」を用いて、各種RDBMS(SQL Server、Oracle、MySQL、Db2)との接続部品を作成することが可能でしたが、これに加えて、2024年2月時点は、以下のサービスとの接続部品を、簡単な操作で作成することに対応しています。
    ・ SharePoint Online
    ・ Dynamics
    ・ Dataverse
    ・ Salesforce
    ・ SAP OData
    ・ MongoDB(NoSQL)

  • Workflow Builder
    Workflow Builder」は、OutSystemsでワークフローを作成するためのSaaS型の開発支援ツールのひとつです。主にエンドユーザーを対象とし、画面項目と処理の流れ、承認や差し戻しの条件や、承認者グループをWebブラウザ上で指定するだけで、ワークフローアプリケーションを開発することができます。複数の承認段階を定義したり、項目の入力値によって処理を分岐させたりすることで業務に合ったワークフローをブラウザ上で容易に構築することができます。画面やロジック、データモデルは自動的に作成されるため、OutSystemsの開発スキルがない状態でも、ワークフローアプリケーションを構築することが可能です。また、作成したアプリケーションは、通常のアプリケーションと同様に「Service Studio」で編集することも可能であるため、最初にテンプレートを作成する用途で活用することも可能です。
  • Experience Builder
    Experience Builder」は、OutSystemsの開発者がモバイルアプリを作成する際にWebブラウザ上で利用できる、SaaS型の開発支援ツールのひとつです。一般的なB2Cモバイルアプリケーション向けのテンプレートを利用して数分でプロトタイプを作成することが出来ます。OutSystemsの開発におけるベストプラクティスや優れたUI/UXを取り入れているため、設計や開発に費やす時間を大幅に減らすことが可能です。ブラウザ上で実際の画面イメージを再現したプロトタイプを作成することができ、作成したプロトタイプは即座にOutSystemsのモバイルアプリケーションに変換、「Service Studio」で必要な処理を実装することで、スピーディーな開発を実現できます。

まとめ

ここまで、OutSystemsで開発に利用するIDE上のツールやSaaS型の開発支援ツールをご紹介してまいりました。

  • IDE:開発者のPCにインストールして利用する統合開発環境(Integrated Development Environment)
  • Service Studio:アプリケーションの作成/変更/デプロイを行うことができるIDE上のビジュアル開発ツール
  • Integration Studio:外部のSaaSやデータベースと連携するためのIDE上のツー
  • AI Mentor Studio:AI技術を活用したアプリケーション開発支援機能をもったSaaS型の開発支援ツール
  • Integration Builder:外部のSaaSやデータベースとのコネクタを手軽に作成するためのSaaS型の開発支援ツール
  • Workflow Builder:OutSystemsでワークフローを作成するためのSaaS型の開発支援ツール
  • Experience Builder:OutSystemsの開発者がモバイルアプリを作成する際に利用できるSaaS型の開発支援ツール

これらのツールは、OutSystemsの開発者がアプリケーションを迅速かつ簡単に開発できるように支援してくれます。また、OutSystemsの拡張性により、他の開発ツールやサービスとの統合も可能です。開発者は、自分たちの開発環境に最適なIDE上のツールやサービスを選ぶことができます。

弊社では、こうしたOutSystemsが提供するツールやサービスを熟知した技術者や、多数の導入実績で蓄積されたナレッジを活かして、OutSystemsを最大限活用できるようご支援することが可能です。
また、OutSystemsの様々な導入・開発の知見をもとに、お客様の社内でOutSystemsの活用を推進するCenter of Excellence(CoE)チームを組成し、スムーズな導入と環境全体の統制、そして利用範囲の拡大をご支援するサービスをご提供しております。
OutSystemsの導入やCoEチームの有用性/組成方法についてご興味のある方は、是非、弊社までお問い合わせください。
https://itsol.dentsusoken.com/outsystems/inquiry/

本ブログは、2024年3月1日時点の情報をもとに作成しています。
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