OutSystems 11からODCへどう変換する? 変換プロセスとツールの機能について(Vol.38)
- 公開日:

OutSystems Developer Cloud(以降、ODC)は、2023年の提供開始から2年以上が経過し、その機能を大きく向上させてきました。
従来のOutSystems 11(以降、O11)で構築したシステムにおいて、パフォーマンスや可用性の高い基盤での運用やAI機能を活用した開発の効率化を目指す場合、O11からODCへの変換は一つの選択肢となりうるでしょう。
本記事では、O11からODCへの変換プロセスをご紹介し、そこで活用するOutSystems社提供の変換ツールの機能について解説します。
目次
OutSystems Developer Cloud (ODC)の特長は?
まずはODCについて簡単におさらいしましょう。
ODCは、OutSystems社によってAWS上に構築されたクラウドネイティブなローコードアプリケーション開発プラットフォームです。
ODCの特長①コンテナ技術の採用による可搬性(ポータビリティ)の向上
ODCで開発したアプリケーションは、コンテナとして稼働します。
コンテナの特長により、ステージ間のデプロイを高速に行うことができるほか、負荷の高まっているアプリケーションを自動的にスケールアウトし、処理負荷を分散します。
ODCの特長②マイクロサービス化による拡張性・柔軟性の向上
ODCを使って作られるアプリケーションは、それぞれが疎結合で連携しているため、互いの依存関係は低い状態となっています。
これにより、運用を開始した後も機能変更の影響を最小化でき、アジャイルにアプリケーションを進化させていくことが可能です。
ODCの特長③最新のAI機能
OutSystems社が2024年10月に発表したMentor(AI Mentor System)は、開発のあらゆる面をサポートするAIのツール群です。
自然言語でアプリケーションを生成できる「Mentor App Generator」や、生成AI機能をアプリケーションの中に簡単に組み込むことのできる「AI Agent Builder」などは、ODCの利用者にのみ提供されている最新機能となっています。(2025年12月時点の情報)
ODCとO11の違いはこちらの記事でもご紹介しております。是非ご一読ください。
「OutSystems Developer Cloud ( ODC ) とは?OutSystems 11との違いをわかりやすく解説(vol.22)」
OutSystems Developer Cloud (ODC)への変換プロセスは?
では、現在O11を利用しているユーザーは、どのようにODCへの変換を進めていくのでしょうか。
OutSystems社の公式ドキュメントでは、O11からODCへの変換に必要なプロセスを4つのステージに分けて定義しています。
ここでは、それぞれのステージで行うべき作業を簡単にご紹介します。
○ステージ1「O11アプリの変換を計画する」
まずはO11で構築されたアプリケーションを分析し、ODCに適した形へリファクタリングする必要があるかどうかを確認します。
ODCはマイクロサービスアーキテクチャを前提としているため、単一のコードベースとモジュールで構成されるモノリシックなO11アプリケーションは、そのまま変換するには適さない場合があります。
このステージでは、アプリケーションの複雑さや依存関係を分析し、変換の難易度を見積もります。
○ステージ2「O11アプリの変換を準備する」
次に、O11環境上で必要なリファクタリングを行い、ODCへの変換が可能な状態にします。Service Studioを使って該当箇所を修正し、テストを行うことで、変換の準備を整えていきます。
○ステージ3「コード変換を実行する」
このステージでは、ODC側の管理ツール(ODC Portal)を使用し、O11アプリケーションをODC形式に変換します。変換後はODC Studioで必要な追加のリファクタリングを行い、実行環境で利用可能な状態(パブリッシュ)にします。
また、業務データやエンドユーザー情報など、O11環境で蓄積されたデータの変換もここで行います。
○ステージ4「データとユーザーの移行を実行する」
最後に、ODC環境上でアプリケーションをテストし、O11環境と同様に動作するかを確認します。
問題がなければ、O11のデータとエンドユーザーをODCに移行し、ODC環境での本番稼働を開始します。
OutSystems Developer Cloud (ODC)への変換ツールの機能は?
前章でご説明したODCへの変換プロセスでは、OutSystems社が提供する変換ツール(Conversion Assessment Tool)の利用が欠かせません。
この章では、変換ツールが提供する3つの主要機能についてご紹介します。
【アセスメント機能】
O11アプリケーションがODCに変換可能かどうかを評価する機能です。評価結果は「Ready for ODC(そのまま変換可能)」、「Change in ODC(ODCで修正が必要)」、「Refactor in O11(O11でリファクタリングが必要)」などのステータスで表示されます。
評価結果には詳細画面があり、ここでは検出されたコードパターンの一覧を確認できるほか、そのまますぐにService Studioの該当箇所を開いて修正作業を開始できます。

この機能は変換プロセスのステージ1や2において、リファクタリング工数の見積もりを行ったり、具体的なリファクタリング箇所の特定を行ったりする際に活用します。
【変換機能】
O11のアプリケーションをODCの「App」や「Library」に自動的に統合・変換します。変換後のアセットはOMLファイルとして出力され、ODC Studioで開いて修正し、パブリッシュします。
依存関係のあるアプリは、Producer → Consumerの順に公開することで、エラーを防ぐことができます。

この機能は変換プロセスのステージ3で使用します。
【データ変換機能】
コードの変換が完了したら、O11環境で蓄積された業務データやエンドユーザー情報の変換を行います。
変換対象は以下の通りです。
1. O11アプリケーション内に定義したテーブル(エンティティ)が保持する全てのデータ
2. Usersエンティティに登録されたエンドユーザー情報(※パスワードは変換されません)
セキュリティ上の理由から、パスワードはODC側で再設定する必要があります。また、必要に応じてエンティティを作成し、O11で保持していたエンドユーザーの追加情報をODCに引き継ぐ必要があります。
この機能は変換プロセスのステージ4で使用します。
まとめ
今回のブログでは、ODCへの変換プロセスとツールの機能について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
ODCへの変換は単なるソースコードの変換ではなく、クラウドネイティブなアーキテクチャに沿って設計そのものを見直すことが求められます。
OutSystems社が定義する変換プロセスと変換ツールは、それを着実に進めるために役立つことでしょう。
とはいえ、いざ変換を実施しようと思うと、様々な課題が挙がります。「リファクタリング工数はどれほどかかるのか」、「既存の複雑な構成がODCに適合するか」など、個別の状況に即した判断が必要な場面も多くあります。
このような課題は、公式ドキュメントだけでは判断が難しく、技術的なノウハウが不可欠です。
弊社では、O11ユーザー様向けにODC移行支援サービスをご提供しております。上記でご紹介したOutSystems社の変換プロセスをベースに、各プロセスをより着実に遂行するための実践的なプロセスを定義しているほか、ツールのマニュアルやリファクタリングガイドラインなど、弊社のナレッジを集約したサポートドキュメントなどもご提供しております。
ご興味のある方は電通総研のサービスページをご覧いただくか、詳細な情報は弊社Webサイトからお問い合わせください。
電通総研のOutSystems関連サービスページ:https://itsol.dentsusoken.com/outsystems/service/
OutSystemsに関する詳しいお問い合わせは、弊社Webサイトからお問い合わせください。
https://itsol.dentsusoken.com/outsystems/inquiry/
<筆者>
氏名:岡村一輝(おかむら かずき)
経歴:2019年よりOutSystems開発者としてアプリケーション開発・環境構築・内製化支援、トレーニングなどに従事。
現在は、OutSystemsアーキテクトとして複数顧客の開発支援を担当。
2025年にOutSystems Developer Day Tokyoにて講演。
保有資格
– Expert Developer(OutSystems Developer Cloud / OutSystems 11)
– Tech Lead(OutSystems 11)
– Platform Ops(OutSystems 11)

