OutSystems(アウトシステムズ)とは? ~機能やメリット・デメリットを解説~(vol.27)
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近年、システム開発を取り巻く環境は大きく変化しています。デジタル化の加速により、企業はより多くのアプリケーションを迅速に開発する必要があります。一方で従来の開発方法では、増加する開発ニーズに対応しきれない状況が生まれています。
こうした課題を解決するために注目されているのが、ローコード開発プラットフォームです。ローコード開発プラットフォーム は、プログラミングコードをほとんど書かずに、視覚的な操作でアプリケーション開発が行えるツールです。
OutSystems (アウトシステムズ)は、ローコード開発プラットフォームの代表的な製品の一つです。
本ブログでは、OutSystemsの概要、特徴、メリット・デメリット、導入事例について解説します。
目次
OutSystems(アウトシステムズ)とは?
「OutSystems(アウトシステムズ)」とは、OutSystems社がリリースした、「超高速開発を実現できるローコード開発/運用プラットフォーム」です。
OutSystemsの開発言語は、アイコンで可視化されたビジュアル言語なので、高度なプログラミング知識がなくても、アプリケーション開発が可能です。OutSystemsは、「1.企画・構想/要件定義」→「2.設計/実装」→「3.導入/開発」→「4.運用・監視/保守」といった、システムライフサイクル全体をカバーし、アジャイルかつフレキシブルに進化が求められるシステム開発に適しています。
OutSystems社について
OutSystemsをリリースしたOutSystems社は、2001年にPaulo Rosado氏によってポルトガルのリスボンで創業され、現在は本社をポルトガルのリスボンとアメリカのマサチューセッツ州ボストンの2か所に置くソフトウェアベンダーです。2017年の1月には日本法人「OutSystemsジャパン株式会社」を設立しており、2024年4月1日現在、世界14か国にオフィスを構えています。OutSystemsジャパン株式会社の代表取締役社長は2024年1月に「三重野 智博」氏が就任しました。
ローコード開発の概要や「ローコード開発製品選定のポイント」、「これからのシステム開発のあり方」について詳しく知りたい方は、「ローコード開発 とは? ~LCDPはシステム開発の救世主となりうるのか?~(vol.1)」のブログをご覧ください。
OutSystems(アウトシステムズ)の特徴的な機能
エンタープライズ向けのアプリケーション開発に強いローコードツールといえます。日本国内でも多くの企業に利用されているOutSystemsの特徴的な機能として、9つご紹介します。
- ローコードによる超高速開発
OutSystemsは、デザインに富んだマルチデバイス向けのアプリケーションを制作できるローコード開発プラットフォームです。- ビジュアルモデリングによる直感的な操作でアプリケーションをデザイン
- デザインを元に「ソースコード生成」~「ビルド」~「デプロイ」が自動化され、ワンクリックで動作するアプリケーションを生成
- 電通総研の試算では従来の約5倍のスピードで開発し、ユーザーに速やかに新しい価値を届けることで、加速するビジネスの要求スピードに応えることが可能
- 1つのプラットフォームでいくつものアプリケーションを統合して開発・運用を管理することができるため、チームによる共同作業も可能
- ビジュアルアプリケーション開発
ビジュアル開発環境で画面、処理フロー、データモデルを設定し、アプリケーションを自動生成します。- アイコンのドラッグ&ドロップによる視覚的な操作で開発
- ドキュメントがなくても、統合環境だけでビジュアルに内部構造を把握できる
- 開発者のコーディングスキルに依存した品質のばらつきの低減
- 業務ロジックやデータベースの作成も、全てビジュアル開発することが可能
- Webアプリケーションとモバイルアプリケーションを同じ手順で作成することが可能
- 豊富なテンプレート・パーツ
用意されたパーツやテンプレートを利用して、デザイン性の高いUIを実現します。- スクリーンテンプレートを元に画面を作成することで素早く洗練されたUIを作成
- 様々なUIパーツを組み合わせることでデザイン性の高いUIを容易に構築可能
- WEB/モバイルともにデザイン性が高く、一部アニメーションも実装したパーツ
- BPT(ビジネスプロセステクノロジー)
業務プロセスに沿ったアプリの制御をビジュアルに作成することができます。- ユーザの操作と連動し、複雑なロジックになるビジネスプロセス全体を視覚的にデザインし、アプリケーションとプロセスを統一環境で管理することが可能
- プロセスの可視化により属人化を排除し、プロセスの追加、修正が容易に
- プロセスの分岐・Eメールの送信・承認待ち等、業務プロセスのイベントに沿ったフローをツールアイコンのドラッグ&ドロップで設計
- 特定のイベントに連動してバックエンドで動作するアプリケーションも作成可能
- AIによる開発アシスト
何百万もの事例を学習済みのAIが開発をアシストし、生産性と品質を向上させます。- 開発中のロジックから推定される次のアクション候補をAIがサジェスト
- 典型的なロジックを組み上げる場合は、候補を選択するだけでロジックを組み上げることが可能
*AI技術を活用したアプリケーション開発支援機能については「OutSystems AI Mentor Studio とは? ~AIが技術的負債を自動検出して解決方法を提示~(vol.20)」のブログで詳しく解説しておりますので、ご覧ください。
- マルチデバイス向け開発
Webアプリケーションとモバイルアプリケーションを同じ手順で作成することができます。- デバイスの画面サイズに応じてデザインやレイアウトを最適化させるレスポンシブデザインに標準対応
- デバイスのネイティブ機能(GPS、カメラ、バーコードスキャン 等)を簡単に利用可能
- モバイルアプリケーションはiOS/Androidどちらの環境でも動作可能
*モバイルアプリを開発する方法については「OutSystemsでモバイルアプリを開発するには?(vol.11)」のブログで詳しく紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
- マルチデータソース/豊富な外部連携機能
SAPやSalesforceをはじめ、様々なシステムやサービスとの連携が、ドラッグアンドドロップでロジックに組み込むことで可能です。あらゆる連携機能をサポートし、システムをシームレスに繋げることができます。- 外部データベース(Oracle/SQL Server/MySQL/DB2)への接続を標準でサポート
- コミュニティサイト(Forge)からコネクターを取り込むことで、様々なサービスと簡単に連携
- REST/SOAPサービスおよびSAP連携機能が標準で組み込まれており、容易に連携を実現
*外部DBとの連携についてはこちらのブログで詳しく解説しておりますので、ご覧ください。
- デプロイ(デリバリ管理)
OutSystemsは、「開発環境」、「テスト環境」、「本番環境」と、「これらの環境をコントロールする環境」が用意されており、統合管理されているため、アプリケーションの品質を確認し、安全に運用することができます。また、 OutSystemsは、各環境にアプリケーションをリリースする際は、関連する「コンポーネント(再利用可能なオブジェクトのこと)」間の依存関係による影響度を自動的に分析・検知し、リリース対象漏れを抑止します。システム管理者が1クリックすることで、リリースプランに沿ってテスト環境や本番環境を停止せずに、安全にアプリをリリースすることができます。運用開始したアプリは、定期的にパフォーマンス分析をダッシュボードで見ることができるため、アジャイルに進化させ続けることができます。- アプリケーションの展開と更新をワンクリックで実施
- 依存関係のチェックと展開プロセスの処理をOutSystems が自動的に処理
- 複数環境(開発・QA・本番等)のアプリケーションを統合管理
- デプロイ時に依存するアプリケーションを自動で検知しリリース対象漏れを抑止
- ODC(OutSystems Developer Cloud)
ODCと呼ばれるクラウドネイティブな開発基盤を提供しており、長期間でコストのかかるクラウドネイティブな開発基盤の構築をOutSystemsが担うことで、開発者は拡張性、セキュリティ、可用性に優れた環境でアプリケーションを開発し提供することができます。
*ODCについては「OutSystms Developer Cloud ( ODC ) とは? ~OutSystems 11との違いをわかりやすく解説~(vol.22)」のブログで詳しく解説しておりますので、ご覧ください。
OutSystems(アウトシステムズ)のメリット・デメリット
本章では、OutSystemsをアプリケーションの開発に活用するメリットとデメリットをご紹介します。
OutSystemsのメリット
- 開発期間/工数の短縮
OutSystemsでは、業務ロジックやデータベースの作成も、全てビジュアル開発で行われ、プログラミングが簡略化されるため、アプリケーションの開発期間/工数が大幅に短縮されます。 - 内製化の促進
OutSystemsのビジュアル開発により、開発者のコーディングスキルに依存した品質のばらつきが低減されるため、プログラミング初心者でもアプリケーションを開発できます。また、OutSystemsにはAIによる開発アシストがあるため、生産性を向上させるだけでなく、経験の浅い若手エンジニアが迷わずに開発を進められることから、内製化の促進が図れます。 - 複数のアプリケーションを開発することでコストパフォーマンスが最大化
エンタープライズ開発に強い基盤であり、複数のアプリケーション開発をすることによりコストパフォーマンスが最大化されます。
OutSystemsのデメリット
- ライセンス費用の算出方法が複雑
独自のAO数やユーザー数という考え方や、豊富なオプションメニューを持っているため、見積ライセンスの見積ロジックが複雑になっています。ライセンス費用についてはこちらのブログで詳しく解説しておりますので、ご覧ください。
OutSystems(アウトシステムズ)の導入事例(東京エレクトロン株式会社)
日本国内におけるOutSystemsの有名な導入事例として「東京エレクトロン株式会社」が挙げられます。
半導体製造装置の開発製造販売で国内シェア1位、世界3位の実績を誇る東京エレクトロン株式会社。事業を支える基幹システムとしてSAP S/4HANAが導入され、多岐にわたる周辺システムとのデータ連携やアドオン開発などにローコード開発の世界的プラットフォームOutSystemsが採用されました。OutSystemsはGUIでロジックや画面を構成できるため、トレーニングコストが低く、スピード感をもって開発できることが特長です。さらには、SAP S/4HANAとの連携用コネクタを多数装備、画面やバッチ、APIを高速開発する統一基盤も提供します。この開発プラットフォームの導入とユーザー教育に大きな力を発揮したのは電通総研でした。
詳しくはこちらでご紹介しておりますので、是非ご覧ください。
OutSystemsを導入するには? 国内のパートナーは?
OutSystemsを実際に導入する方法について解説します。
OutSystemsのライセンスは、OutSystems社から直接購入するか、セールスパートナーから購入する必要があります。
パートナー(正規の販売代理店)には、大別して次の2種類が存在します。
- Sales:ライセンスの販売を行っているパートナー
- Delivery:OutSystemsを用いたシステム構築を行うパートナー(ライセンス販売はしていない)
※その他にもMSPやTRAININGといった種類のパートナー種別が存在しますが、本ブログでは割愛します。
日本におけるセールスパートナー(2024年4月18日時点情報)
- BIPROGY株式会社
- FPTソフトウェアジャパン株式会社
- 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
- 株式会社 BlueMeme
- 株式会社NTTデータ
- 株式会社 電通総研
※最新情報はこちらのURLからご確認ください。
https://www.outsystems.com/partners/list/?l=Japan&typeFiltersSelected=Location&sort=1
まとめ
本ブログでは、OutSystems(アウトシステムズ)の概要、特徴と導入するメリットについて解説してまいりました。ここまで読んでいただいた通り、OutSystemsはビジュアル開発によって高速に、外部システム・サービスと連携した、マルチデバイスのアプリを制作し、安全にユーザーに届け、安定した運用を支えるための、全ての機能を兼ね備えていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
電通総研では、ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsの導入・活用を支援する様々なサービスメニューをご用意しております。
https://itsol.dentsusoken.com/outsystems/service/
ローコード開発プラットフォームの活用を前提としたITロードマップ策定から、ローコード開発プラットフォームのPoC支援、CoE支援によるローコード開発プラットフォームの導入・活用、ローコード開発プラットフォーム上の受託開発など様々なご支援をさせていただきます。
ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsの導入をご検討の際は、是非、電通総研へお声掛けください。
https://itsol.dentsusoken.com/OutSystems/
また、各パートナー企業ともトレーニングメニューをご用意しておりますが、OutSystemsの資格や自分で学習する方法を「OutSystemsの資格を取得するためには?(vol.6)」のブログで詳しく解説しておりますので、ご覧ください。
本ブログは、2024年4月1日時点の情報をもとに作成しています。
OutSystemsに関する詳しいお問い合わせは、弊社Webサイトからお問い合わせください。