RPAのメリット・デメリットとは?DXを推進するための4つのポイント(vol.9)

2021.12.27

ニューノーマル時代への転換期を迎え、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた業務改革やデジタル技術を活用した企業が増えています。このデジタル技術を推進するためのシステム実装方法の1つとしてRPAの活用があります。
本記事では、RPAのメリット・デメリットを各4つのポイントに分類し、RPAを開発した技術者の立場で分かりやすく解説して行きます。

RPAが必要とされる背景・目的

RPAが必要とされている目的には、現在の仕事内容や手順の見える化/業務の標準化を行い、定型化された作業のロボット化による作業時間と人件費(コスト)を削減があります。また、定型作業のロボット化による正確性と人的ミスの防止、単純作業から脱却しクリエイティブな作業に時間を使うことが出来ます。
また作業の効率化だけではなく、そこで使用している基幹システム、パッケージソフトウェア、サーバやネットワークなどやインフラ環境に大きな手を加えたりすることなく、365日24時間ミスなく稼働することができます。
よって業務のデジタル化=業務プロセス全体を敏速に回すことができ、結果的に「働き方改革」にも大きく貢献できることになります。

RPA4つの導入メリット

RPAのメリット1:今の仕事のやり方を変えずに人間の作業を自動化

作業の効率化やコスト削減を実現するために、今の業務のやり方を変える方法があります。現在使用しているシステムに大きく修正を加えたり、外部業者に仕事をアウトソージングすることは、かえって逆効果になる場合があるのす。ロボットは、今まで人間がしていたPC画面上の操作を記憶し、ロボットが人間のかわりに操作することで作業を置き換えます。そしてデータの入力や値のチェック、情報取得といった作業を自動的に実行させることができます。

RPAのメリット2:あらゆるアプリやサービスと自動化できる

どの様なアプリケーションやサービスを自動化できるかは、利用するRPA製品によって異なります。ほとんどの製品ではMicrosoft社のExcelやWordなどのOffice製品を始め、Windows上で稼働するソフトウェア、Webブラウザで動作するサービスやアプリケーション、ホストコンピュータの操作や仮想マシン、メール送信などを使う処理も自動化の対象となります。SAPやSalesforceなどのサービスとの連携も可能になっています。

RPAのメリット3:こんな作業が自動化できる(一例)

取引先からメールで送られてきたExcelの添付ファイルを、決められたファイルサーバー上のフォルダパスに格納し、添付のExcelファイルを開いて別のExcelファイルにデータ転記後マクロを実行し集計できます。かつ基幹系の業務アプリケーションにもデータを入力し、この作業を複数社分繰り返したとします。転記が完了した旨を担当者にメールで連絡する様な、決まったアプリや決まった流れで、決まった情報を扱う作業は、RPAで自動化しやすい作業になります。

RPAのメリット4:システム開発と違ってコストや手間が抑えられる

作業の自動化はシステム構築やパッケージソフトを導入することで実現できます。RPAは従来のシステム構築やパッケージソフトの導入と違って、PC1台から低コストで始めることが出来るのです。よって自動化したい作業を担当者自身がロボットの作成方法を取得し作成することも出来ます。開発予算が少ない場合でも導入を検討できるうえ、従来はシステム構築の対象から外された担当者レベルの作業も自動化できます。

RPA4つの導入デメリット

RPAのデメリット1:業務内容の整理/標準化不足

業務内容の整理や標準化、As-IsやTo-Beの作業フローや作業Step、作業の繰り返しや分岐を明確にしないままでRPAの構築を始めると、ユーザのテスト段階で仕様変更が発生し開発期間や費用に影響が発生します。
また、作業効率が悪いロボットを構築したり、誤動作や異常終了にも繋がります。ファイル名、ファイルのシート名、ファイルのパスワード有無、ファイルの格納パスなど、ファイル1つを取っても細かい点について利用者全員で決めておきましょう。

RPAのデメリット2:業務自動化の範囲はよく検討を

ロボット構築する上で自動化したい作業内容を洗い出しします。その際の注意点としては、対外的にやり取りをする重要な作業stepがあります。具体的には①商品、部品や資材などの最終発注、②工事日や作業日の確定依頼、③請求金額の送付、④商品の入出庫日の連絡などは自動化せず人間が最後に確認してから手動で実施する、もしくは自動化する場合は、人間が最後にチェックし問題あればキャンセルできる様にしておきましょう。こうすることでRPA稼働後におきやすい取引先とのトラブルを回避できます。

RPAのデメリット3:業務やシステムが変わった時の対応

業務内容やルールの変更、法改定や制度変更、基幹システムやWebシステムの改修、パッケージシステムやOffice製品のVersion up等により画面の更改、作業Stepの追加・変更など、どんな軽微な変更でもRPAの修正が発生します。また端末の故障や機器リプレースでの変更でも都度RPAを止めて人間の手で再設定する必要があります。

RPAのデメリット4:RPAの進め方のよくある誤解

ロボットの構築には数日で完成すると思っている人が多いです。しかし実際は作業手順やフローなどの要件確認、
処理内容を記載した設計書作成、ロボット実装、テストデータ作成、開発/検証環境でのテスト、本番環境の準備なども考慮すると、難易度高い業務の場合で1.5ヶ月程度はかかります。
また、ロボットを作成する前に開発/運用ルールの整備、全社横断でRPAを推進する社内運用体制の構築、ロボットを開発・保守する要員確保なども必要になります。

RPA のメリット・デメリットを踏まえたRPAソフト選定・確認ポイント

RPAは作業の効率化と人件費(コスト)削減を実現し生産性向上にもつながるツールです。まずRPAのメリットとデメリットをしっかりと理解してから、次のRPAソフト選定ポイントを確認したうえで、自社にあう使いやすいRPAソフトの導入を検討しDXを推進するようにしましょう。

【RPAソフト選定・確認ポイント】

  1. 小規模から大規模への対応
    最初はPC数台のクライアント型から始め、将来的にロボット数が多くなった場合にサーバ型やクラウド型に安価で容易に移行できるか
  2. 識別アプリ
    WEB/.Net / Javaで構築された業務システム、ターミナルで動作するシステム、Word/ExcelなどのOffice製品やPDF、Outlook/ Thunderbirdなどのメールソフト、SAPなどのERP製品、パソコンの図面上で図面を作成するCAD製品など、操作方法や画面の認識ができるか
  3. 処理速度
    ロボットが実行する処理速度は速いか、安定しているか
  4. 柔軟性と難易度
    ロボットは簡単に作成できるか、ユーザの操作とユーザのやりたいことが実現できるか、教育コンテンツは充実しているか
  5. 多種・多様なソフトと連携
    RPA+AI、RPA+AI-OCR、RPA+画像認識、RPA+音声認識、RPA+IOT、RPA+チャットボット
  6. 将来性や利用ユーザ数
    製品の拡張や製品の不具合解消、使い勝手の改良など、定期的にVersion upが実施されているか、日本国内を始め、世界での利用ユーザ数実績

弊社ではRPAの推進と活用をもう一度はじめたい方に参考になる資料「今こそ言える、RPA成功への近道 ~推進と活用の2軸から‘もう一度’はじめましょう!~」をご用意しております。本資料は、RPA導入や再活用に向けて必見の資料です。ぜひダウンロードいただき、ご覧ください。」