RPAの事例を教えて!実は意外と広い活用範囲(vol.18)
「RPAの事例を教えて?」
色んなところで聞かれます。この先もきっと無くなることはない質問フレーズでしょう。RPAが得意・向いている作業はもはや、まず思い浮かべられるであろうヒトが実施している定型業務の自動化だけに留まりません。ヒトでは対応しきれなかったがRPAだからこそ出来るようになった作業や、それこそ私たちユーザーが知らないうちに、実はRPAを使っていたなんて事例も数多く目や耳にするようになってきました。
本記事では、今更だけどRPAの事例はどんな範囲に拡がっているのか、業務Detailではなく俯瞰的にご紹介できればと思います。
■RPAの事例は、千差万別
「RPAの事例」と聞いてまず最初に思い浮かべるのは、人手による「定型」「単純」「大量」「繰り返し」の業務(作業)といって異論はないかと思います。作業の質の視点です。一方で「RPAの事例を教えて?」と聞く人によっては、「人事部の業務」「経理部の業務」など、どんな業務部門で使われているのか?に期待している場合もあります。答える側としてもどんな答え方をすべきか、聞き手の意図を汲み取るようにするとすれ違うことなくスムーズになるでしょう。「RPAの事例」を聞くからにはきっと何かしら想像している回答があるはずなので、作業の質なのか、業務分野のことか、はたまたもっと別の切り口を期待しているのか様々です。逆質問が許される場合にはこれまで検討されたことや取り組まれてきたことなどお伺いし、聞き手のイメージに沿うお話をするようにしています。(ROI等具体的な期待効果を聞かれていた場合もありました。)
そう、「RPAの事例」は聞き手によって捉え方は千差万別なのです。またここ最近ではヒトの見えないところで実はRPAが活躍していたり…なんて事例も聞かれるようになりましたので、
- 定型業務の自動化
- RPAによって、出来るようになったこと
- 実はこんなところでもRPAが
といった切り口で俯瞰的に事例の一端をご紹介いたします。
■RPA事例① 定型業務の自動化
トップバッターは定番中の定番、「定型」「単純」「大量」「繰り返し」は外せません。
PC画面上で人が色々なアプリケーションを操作して、データを抽出、集計、転記したりという、いわゆる’The RPA’ですね。
RPA普及期は、誰もいないのに(起動したRPAロボの作業中、)PC画面内のマウスポインタやアプリケーションが勝手に動いてる!(オバケ?暴走?)と訝しく思った方もいたのではないでしょうか。ロボ作業中はPCがRPAに占有されてしまうため、RPA用端末を別に設置したり、スケジュール起動で夜間のうちにロボットに作業してもらうなど、ヒトの業務’非‘効率化にならないよう工夫も必要でした。最近ではPC画面のすみっこに表示された別画面の中で、RPAが黙々と自動化業務をこなす機能(UiPathではPicture in Pictureと呼ばれる)も出現しており、専用端末がなくとも自分のPCで自動化業務も並行して実施でき、「一人1台のRPA」が益々浸透してきています。
■RPA事例② 今まで人手では出来なかったことも
RPAの適用範囲を考える際、RPA事例①は「実際に実施されている業務」なので導入効果をイメージしやすいと思います。
※導入効果は作業の時間短縮だけでなく、締切時間や絶対に間違えられない作業、前向きに捉えられない作業からの解放など金額換算できないものも多く、こちらはまた別の機会に…
逆に、今まで人手では大変すぎて実施できなかった作業をRPAに任せることで、新たな価値の創出が出来ている事例も多々あります。
典型的な例として、
- 処理が大量・煩雑過ぎて週次・月次でしか実施できなかった作業がRPAによって日次で実施可能になる。
- 更なる大量データの集計・分析することで情報の鮮度・精度が向上し、今まで以上にタイムリーで適切な情報提供・判断に活用できるようになる。etc
あまりの手間が故、ヒトが対応するには敬遠される作業でもRPAは従順で、しかも最も得意とする部分です。今まで実施できなかった作業をRPAで新たに実施すれば、時間短縮だけでない価値創出という効果があることを是非想像してみてください。
■RPA事例③ 見えないところでも活躍しているRPAたち
定型作業、新たな価値創出に続いてご紹介するのは、忘れちゃいけない(見えてないからそもそも知らなかった?)部分。実はユーザーの見えないところでもRPAは活躍事例が多くあります。一人1台のRPAが行き渡った先には何がある?の観点でも、今後の拡がりが非常に大きいエリアと考えています。
- テストの自動化
IT担当の皆様にはお馴染み、システムのリリース前には周到なテストが必ず実施されます。システムの規模や重要度に応じて、同時アクセス数/排他制御/エラー時の挙動/etc…など気の遠くなるテストケースを全て網羅し、全テスト結果のドキュメントを残す…、必要不可欠な作業であり非常に工数が求められる作業です。RPAは「日々の」作業だけでなく、これらシステムテストでの「大量」「繰り返し」にも最適です。パラメータを少しづつ変化させ正常系・異常系全結果の画面ショットを取得、ドキュメントに貼り付けていく…など大得意です。テストケース管理もロボット管理ツールの中で出来るものがあります。 - AIやIoTセンサーなどPC以外のIT・デバイスとの繋ぎ
ユーザーのインターフェース(I/F)が、チャットボットであったり、IoTセンサーであることはもはや日常になっています。これらI/Fデバイスは単体で動作しているだけでなく、I/Fが受け取った情報によって裏側で控えるシステムに連携し、また指示を受けて動作します。この連携部分、従来は接続対象に合わせてシステム開発や連携用ミドルウェア等で実現されていますが、ここにRPAが進出してきています。
例えば、下記のようなケースです。
・AI-OCRで生成されたデータをRPAが別システムに入力する
・チャットボットが社員番号とPWを受け取ったら、RPAが裏側のシステムでログイン情報をチェック、正しい情報と確認しRPAはチャットボットに後続処理の指示を行なう…etc
ノンプログラミングでAPI連携するなどRPAの長所であるスピーディな導入が活かされ、故障や点検・老朽化でI/Fデバイスが変わっても柔軟且つ迅速に対応が可能です。(もちろん要求仕様上RPA介在はNGで、直接システム連携が必要な場合も多々あります) - システム間連携のミドルウェアとして
DX推進の一環として、レガシーシステムの刷新や最新のITシステムとの共存・連携を実施している企業が増えています。その対応方法はその環境や制約事項にもよって様々です。そんな中、RPAが解決策の一つとして認識されはじめています。
業務が複数のシステムにより構成されている場合はデータの連続性を担保し、業務内の処理やデータがスムーズに繋がることが求められます。Bと同様、個別にシステム開発を繰り返していては事業環境の変化に対応が追い付けない場合が出てくるかもしれません。基幹業務システムや営業支援システムをはじめとする一般的に広く利用される(SAPやSalesForce等)仕組みとのAPI連携など、RPAが製品として備えているものが既にあります。”エンタープライズRPA”を導入することで、今後も進化・複雑化するエンタープライズシステム群を有機的に連携し、ビジネスに適合させていく事例が今後ますます増えてくる…と考えております。
■まとめ
本記事ではRPAの事例として、これまでフォーカスされ尽くした定型業務だけでなく、実は意外と広い活用範囲と可能性をご紹介しました。既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、改めてRPAの事例や適用範囲をお考えになる一助・ヒントになれば幸いです。
RPAは、ユーザーが自身の業務の中で対象作業を探す以外でも、様々なビジネスシーンで活躍の可能性を秘めています。企業内で利用されるシステムや業務に精通する普段お付合いのITベンダーでもアイデアを持っていることでしょう。(電通総研はもちろんです!)
弊社ではRPAの推進と活用をもう一度はじめたい方に参考になる資料「今こそ言える、RPA成功への近道 ~推進と活用の2軸から‘もう一度’はじめましょう!~」をご用意しております。本資料は、RPA導入や再活用に向けて必見の資料です。ぜひダウンロードいただき、ご覧ください。」