RPAとは? DXを進めるための救世主になれるか(vol.1)

2021.12.27

DX (デジタルトランスフォーメーション) を進める新たなソリューションとして注目されているRPA。なぜRPAは期待されているのでしょうか?またこの新しい技術により、どのようにDXが進むのでしょうか?
一時的なブームなのか?それとも今後のDXの救世主となるのか?ロボットは誰でも簡単に作れるのか?

本記事ではRPAに対する企業の期待と、RPAにより人々の働き方がどのように変わるのかについて解説いたします。

RPAとは?新たなDXとしてRPAに対する期待

日本のDX浸透が遅れているというグローバルでの評価、また先進国の中でも低い労働生産性の改善策として、RPAはDXの切り札とも言われますが、企業はRPAに何を求めているのでしょうか?
日本の企業がDXに取り組むべき理由の一つとして、今後日本が少子高齢化社会に向かい、労働人口が減少するという課題があります。先進国の中でも特に高齢化が進んでいる日本は、人口は2010年に、労働人口も2019年をピークに減少に転じ、今後企業における働き手の確保が社会的に難しくなっていくのは確実です。また現在において他国が同等のアウトプットを短時間で出せるようになってきた状況と比較すると、高度成長期に長時間労働で国力を上げてきた日本も、同様に長時間働くだけでは生産性の改善は難しいでしょう。グローバルの競争において今後の日本の労働環境を考えると、大きく働き方を見直すべき転換期にあると言えます。

このような社会的背景の中で、企業においてシステム化投資が大きくできない場合に、短期間に簡易かつローコストで実現できる業務自動化のソリューションであるRPAに注目が集まっていると考えられます。今までのシステム化には一定の大きな業務範囲がないとROI算出の予算が取れませんでしたが、RPAの場合は小さな業務単位でもROIが取れるため、投資と回収のスピードが速く進められる利点があります。
企業のRPA取り組みへの期待は、このソリューションを適用すれば業務が自動化され、より少ない労働力による業務実行体制の構築です。そして生産性を高め、経営効率の向上を期待していると言えます。

RPAは働き方改革?

RPAを導入すると、何が変わるのでしょうか?まずRPAは人間が行っている単純な定型作業を代替してくれるので、担当者の作業時間を削減します。時間削減による生産性向上と合わせ、ヒトを定型業務・単純作業から解放すれば、よりヒトでしか出来ない業務に注力できる環境を作れます。これは現在、多くの企業が取り組んでいる働き方改革に通じる効果として期待が出来ます。

では次に、何をロボットにやらせるべきでしょうか?業務の選別が適切に出来ないと、うまくロボットに引き継がれず逆に人間の手間が掛かり、逆効果に成りかねません。ロボットが得意なこと、不得意なことを正しく理解して、最終的にロボットが独立して働けるようにするべきです。

RPA活用の副次的効果として、人間ではどうしても一定量発生させてしまう事務のミスを低減させられるという効果もあります。また繰り返し行う処理などは、人間にとっては苦痛な作業のひとつです。単調だが間違えられないという、人間にとって非常にストレスを感じる業務をロボットに任せ、精神的なゆとりを持ち、生き生きと仕事に取り組めることも、大きな効果と感じられています。

現場のDXとは?

RPAの導入により、ロボットとの分業を検討すると、今まで人間が行っている業務からロボットが実施する作業範囲を切り出す必要性が出てきます。人間がやっている時は暗黙知であった情報なので、切り出しにあたり整理してみると意外と曖昧だったり、イレギュラーな対応が多い業務プロセスだったりする場合もあります。
人間がやっていることをRPAに移管させるためには、この暗黙知の業務内容を可視化してプロセスを棚卸し、また定型化/標準化した上で引き渡す必要があります。一連のプロセスの中でRPAに任せる範囲を定義して、人との役割分担が最終的に決まります。

RPAに仕事を任せるための業務の棚卸を行えば、現場の業務を見つめ直す大きなきっかけになります。今までは疑問に感じず「今まで問題ないやり方だから」「前任者からそのように引き継いだから」という理由で行われていた手順や内容から、「やらなくても良いこと」「まとめてやった方が楽なこと」「今やるなら別のツール・やり方」が見えてきます。より効率的な方法を担当者自らが考える中で、仕事のやり方をより良い方向に変えていくアイディアとマインドが醸成されるのです。

このように、ロボットと協業することをきっかけに仕事のやり方が変わると、今までとは違う働き方が出来るようになります。ロボットに任せる仕事を作り、単に時間が短縮され残業が減るというだけでなく、ロボットのメリットを活かしながらヒトでしかできない仕事に集中できます。今までは忙しくて出来なかった領域に集中すると、一段階レベルを上げた成果を目指せます。すなわちIT(RPA)を活用することによってやり方を変え、仕事の価値を上げられるのです。これがDXです。うまくロボットに仕事を任せられるほど、DXを進められると言えます。
ただし、残念ながら現場のスキルと努力だけでRPAを立ち上げるのは、難しいケースが多いのです。活用ノウハウは、徐々に使ってみてわかってきますので、上手な活用方法を知る全社横断の推進サポートチームやベンダーが一緒に伴走することで、最終的な現場の自走につながっていくのです。

RPAとは? DXを進めるための救世主になれるか まとめ

今回は「RPAとは? DXを進めるための救世主になれるか」と題し、RPAがどのように私たちの働き方を変えるのか、またRPA導入を切り口に現場の業務改善へ発展させ、最初の「DXの救世主」になることをご説明しました。
単なるローコード開発ツールとして導入するのではなく、今までのIT活用という枠を超え企業、組織、現場が、業務変革やアジャイルな改善アクションを体感し活用していきましょう。そうすることによって、RPAがDXにつながっていく未来が見えると信じています。

また新しいデジタルテクノロジーにチャレンジするだけでなく、「人がヒトらしい働き方」、「効果を最大化する業務とITの在り方」、「組織における活用の位置づけ」を目指す姿を各企業が十分議論してはどうでしょうか?現場任せにせず必要な推進/サポート体制を構築した上で、企業全体で活用し導入効果を最大化させましょう。

初期の導入ステップには一部業務へRPAをクイックに適用し、効果を実感しながら現場の理解や協力を深め、活用に積極的な推進リーダーを育てていきましょう。
また企業が利用するシステムに応じた適切なツール選定や、RPAに適した対象業務選定もノウハウが必要になります。導入初期においては経験豊富な開発ベンダーのサポートを受けると、効果的に導入を進められます。

弊社では国内有数の大規模な事例を含み、多くの企業へRPAによる働き方改革を推進してきた知見をもとに、導入を支援しています。またRPAは使い始めてからも、維持管理において様々な工夫が必要です。電通総研は各企業に伴走することで、真のDXの実現に向けてサポートします。RPAを通じてDX組織への変革に取り組みたい企業のご担当の方は、是非弊社までご相談ください。