RPAは使えない? そう思われる4つの理由(vol.4)

2021.12.27

日本にRPAが本格導入されて早5年、多くの企業がRPAツールを導入して業務の自動化を実施しています。業務の効率化を実現している企業がある反面、RPAの効果を感じていない企業も多く存在しているのも現実です。RPAツールは従来の情報システムでは実現できない、アプリケーションの操作を自動化できるツールです。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が叫ばれる昨今、RPAツールはDX実現において、非常に有効なツールとなるはずです。本記事では、なぜ、「RPAツールは使えない」と言われているのか、その4つの理由を紐解いてみます。

RPAが使えないと思われる理由1)思ったほどの効果が表れない

RPAが使えないという理由で、最も多く言われているのが『思ったほどの効果が表れない』があります。RPAの導入に関しては、基幹システム導入のように情報システム投資委員会のような組織で慎重な議論がされないケースが散見されます。特に導入の目的が、DXや働き方改革のようなトップダウンの場合は、RPA導入がありきで、導入スピードを重視、しかもKPI(重要業績評価指標)の必達が求められます。

KPIとして「対象業務数」が掲げられると、導入効果よりも導入のしやすい業務が対象とになりがちです。KPIとして「削減時間」が掲げられると、手順が複雑な業務が対象となることが多くなり、ロボットも複雑化し開発工数が大きくなります。

トップの鶴の一声でRPAは導入されたものの運用が始まる段階で、「削減時間が想定よりも出ていない」や「削減時間に対して開発コストが掛かりすぎた」などの声を聞くケースがあります。RPA導入の際には、通常のシステム導入時のように周到な導入計画を立案し、対象業務の正確な分析と、しっかりと費用対効果を意識することが重要です。

RPAが使えないと思われる理由2)対象業務が見つからない

次に言われる使えない理由が『対象の業務が見つからない』があります。費用対効果を意識し過ぎるようになると、今度はRPA化に適した業務が見つからなくなる傾向となります。担当者には高い負荷が掛かっている業務でも、「ROIが出ないので却下」という話もよく聞きます。

ビジネスにおいてコスト管理は非常に重要な要素です。経済産業省がレポートした「2025年の崖」にも書かれているように、基幹業務における「属人化したノウハウ」というのは業務の継続性における大きなリスクとなります。業務の継続性の他にも安全性、倫理性、社会貢献といった重要なファクターもあります。対象業務の選定にあたっては、様々な尺度を用いてみましょう。

RPAが使えないと思われる理由3)RPAツールを使ってもらえない

ようやくRPA化に適した業務が見つかっても『RPAツールを使ってもらえない』という状況に陥っているケースを多く見かけます。開発専門知識を持った人が開発をする場合は問題ありませんが、専門家ではなく、現場部門の方が自ら開発をする場合に発生しがちです。

ちなみに「RPAツールを使う」には、開発ツールとして利用することと、開発したロボットを利用することの2つの意味があります。「開発ツールとして利用する」について解説していきます。

RPAツールの多くはローコード開発をうたい文句としたツールとなっています。トレーニングコンテンツなども充実していて、ツールは比較的、簡単に使えるようになります。が、しかし、ローコード開発といえども、簡単に開発作業を実施できるわけではありません。

開発作業は一般的に、

要件洗い出し → 要件整理 → ロジック化 → ロジック実装 → テスト

という流れを踏みますが、ローコード開発はロジック化の部分が簡素化されるのみです。業務運用に耐えうるロボットを完成させるためには、ツールの利便性だけでは超えられない壁があります。そのため、最終的に業務運用に耐えうるロボットを完成させられず、RPAツールが使われていかなくなります。

そもそも、ローコード開発ツール自体を使いこなせない方も相当な割合でいます。現場部門の方に開発をおこなってもらう場合は、周到な準備が必要です。

RPAが使えないと思われる理由4)ロボットが頻繁に止まる

この記事をお読みの方はご存知の方も多いと思いますが、RPAのロボットは非常にデリケートなので、『ロボットが頻繁に止まる』ケースがあります。ただ、ロボットが止まってしまう理由を事前に把握しておきましょう。以下の4つの理由が挙げられます。

  1. 操作するアプリケーションの仕様を網羅していない
    「想定外のメッセージが表示された」「想定外の画面が表示された」「入力項目や表示項目が増えた」「入力形式や出力形式が変わった」・・・ などの仕様問題があります。特定のケースや日時で表示される画面や項目の考慮がもれていると、ロボットは処理を継続できません。
  2. 画面のレイアウトやデザインが変更された
    人間が処理しているときは、画面のレイアウトやデザインが変更されても、視覚的な変更と認識して処理を継続できます。しかし、ロボットの場合は画面に描画されるオブジェクトの識別子や位置で認識しているため、特定ができない場合があります。
  3. 操作するアプリケーションの処理を待ちきれない
    操作するアプリケーションがWebの場合、ネットワークトラフィックの関係で画面の描画が遅くなるケースがあります。また、社内システムの場合でも月末処理の時期などで、データ更新や表示に時間を費やすケースがあります。ロボットは人のオペレーションの手順は忠実に再現しますが、遅延などについては考慮できません。
  4. 入力データに誤りがある
    人間が処理をしているときは、データの記載に軽微な不備があっても、人間が判断や補完をして処理を進めることができます。しかし、ロボットの場合は予め想定された入力値やパターンのみしか対応できないため、処理を継続できません。

他にもロボットが止まってしまうケースはありますが、上記の理由を含めて、ロボットが止まる頻度を下げるノウハウがあります。RPA導入の際はノウハウを事前に共有して、頻繁に止まらないロボットを構築する必要があります。

まとめ

今回は「RPAは使えない? そう思われる4つの理由」と題し、RPAが使えないと思われている原因を分析してみました。RPA導入における特徴やRPAツールの特性をご理解いただけたかと思います。

RPAツールは従来の情報システムでは実現できない、アプリケーションの操作を自動化できるツールであり、DX推進の加速に役立つことは間違いありません。

たしかに、一度RPAにネガティブな印象を持たれた方は疑心があるかもしれません。しかし、RPA導入を成功させている企業も多くあることは事実です。RPA導入を成功させるためにまずやるべきことは、RPA導入における特徴やRPAツールの特性を正しく理解しすることです。

業種/業態により適用できる業務や導入方法は異なってくると思います。RPA導入経験が豊富なベンダーに問合せをして、相談してみましょう。みなさまに最適なRPA導入のスタイルが見つかるはずです。

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