UiPath Communications Miningがやってきた(vol.39)

2024.01.06

2023年1115日にUiPath社よりUiPath Ver2023.10が正式にリリースされました。今回のリリースではUiPathのアナウンスである「AI at Work」に象徴される通り、様々な製品に対してAIと連携させることによって、あらゆる仕事の変革をもたらそうという意図が見えてきます。

今回は様々なAI対応製品がある中で、いろいろな意味で注目が高い「Communications Mining」について解説します。

Communications Mining(※)とはメールやチャットなどの「非構造化データ」をML(マシンラーニング)とNLP(自然言語処理)を用いて、マイニング、モニタリング、文脈の意味理解を通じて、次のアクションにつなぐことのできるデータに変換するものです。

ものすごく簡単に言えば、非構造化データをML/NLPを用いてデータを分類し適切にラベル付けをしてくれるというものになります。(あまり簡単に言ってしまうと、怒られてしまうかもしれませんが。。。)

(※)UiPath社はCommunication[s] Miningと必ず「ズ」をつけることを強く推奨しています。

UiPath Communications Miningとは

UiPath Communications Miningとは20228月にUiPath社が買収したRe:infer社の製品がベースとなっている製品になります。

図1図2

図3

主な機能は以下の通りです。(機能名はCommunications Miningの名称通り)

No

機能

説明

1

Train

トレーニング状況の一覧を表示します。

2

Discover

非教師学習によってCommunications Miningプラットフォームが独自に非構造化データを分類し表示されます。機械的に判断された非教師学習での分類を元にして新たな分類の発見をすることもできます。

3

Explorer

登録されたデータを検索表示することができます。表示したデータに対して、様々な切り口からユーザがLabelを付与することによって、教師学習がなされ、自動的に他のデータに対してもLabel付けされます。

4

Validation

UiPathの定められた指標によって現在のモデルの評価が一覧で表示されます。モデルやデータの質を向上させるために実施すべき作業のレコメンデーションが表示されます。

5

Reports

現在の構造化データの状況をレポート形式で表示します。
Dashbord、全体サマリー、データトレンド、セグメントでのレポートが提供されています。

機能面でいうと、感情分析やトーン分析(文章を理解して、文章のトーンがプラスなのかマイナスのニュアンスなのか)も備わっており、その点においてはいろいろな分析の仕方もできると思います。

学習後の分析機能や現在の学習状況とMLスキルのヘルスチェック機能を有しています。

優秀なMLスキルに近づけるために何をすればよいかのレコメンデーションもしてくれるので、MLスキルの改善が一目でわかり、ユーザにとっては非常にわかりやすいものとなっています。

(ただし、現時点ではインタフェースが「英語」のみなので、英語アレルギーの方はちょっと我慢が必要です)

Communications Miningで何がうれしいのか

1.ビジネスの視点を深める手段:

Communications Miningは通信データを分析するツールで、企業のビジネス視点を深める手段となります。

たとえば、ビジネスに関わる様々な意思決定をする際には、可能な限り多くの情報を集める必要があります。

そういった情報の一部となるのが、社内や社外との通信への洞察です。

Communications Miningを導入することで、電話、メール、チャットなど、あらゆる通信手段のデータを深く分析し、営業活動の改善を図るなどの方法で競争力を高めることが可能です。

    2.顧客との接点を最適化する:

    Communications Miningは、顧客とのコミュニケーションを分析し、それを最善に活用する道具箱とも言えます。

    例えば、業務においてクレーム対応や要望対応は欠かせない作業ですが、その内容をきちんと把握し、顧客が何を望んでいるのかを理解することは難しいです。

    それを解決するのがこのツールです。

    顧客のニーズに対してより適切に対応することで、顧客満足度を高めることができます。

    3.企業リスクを低減する:

    Communications Miningは、企業のリスクを低減するのにも役立ちます。

    たとえば、メールでの不適切なコミュニケーションや、セキュリティ上の問題を早期に見つけることが重要です。

    このツールを使用することで、大量の通信データの中から異常や問題を早期に把握することができ、それにより事前に対策を立てることが可能となります。

    Communications Miningの適用範囲

    では、Communications Miningはどのような場面で活躍できるのでしょうか。代表的なものについては以下の通りです。

    ・多くのメールを人がディスパッチする作業を持つ部署へのアプローチ

    コールセンターやサポートデスクなどのように、数多くの問合せを受け人間が内容を判断して内容に応じて適切な作業を行うような場面においては非常に有効な手段だと思います。

    例えば、メールで送られてきたITサービスに関する製品の問合せに対して、Communications Miningによって、適切な分類をしてあげたのちに、ロボットでChatGPTと連携し回答文を作成するなどの対応可能です。

    また、感情分析等を用いて送信者の熱量を図り、作業優先順位をつけることもできます。

    ・多くの作業依頼がメールでくる役職者へのアプローチ

    役職が高くなればなるほど、コミュニケーションの数は増えていきます。(業務管理、組織管理、人事関連etc.)

    そういった作業に対して、自動的に依頼内容を読み取り、優先順位をつけた上で本当に人が判断すべき内容だけを人が判断し、省力化すべきものについてはAutomation化するなどの対応が可能になります。(現状ではデータソースの限定が必要かもしれません)

    ・内容分析

    こちらが本来的な「Mining」なのかもしれません。お客さまからの声や社内のナレッジベースなどを用いて、新商品開発や商品の改善、営業施策、顧客満足度向上の施策へのヒントを得ることができることもあるでしょう。

    まとめ

    今回はCommunications Miningに関して、概要を簡単に紹介しました。

    次回以降、実際使ってみての深堀をしたいと思います。

    Communications Miningは、組織のメッセージを処理し、メッセージの理解を助け、ビジネスを改善するための実用的な洞察を提供するスマート アシスタントのようなものです。これは、通信の過負荷を軽減し、データを最大限に活用するのに役立つツールです。

    Communications Miningの導入にご興味がありましたら、ぜひお問い合わせください。

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