OutSystemsでExcel業務をWebアプリケーション化してみよう!(vol.8)

  • 公開日:2022年11月14日(月)

企業がローコード開発ツールを導入するメリットの1つは「市民開発の普及」といえるでしょう。システム開発スキルがない方でも、少ない学習コストでアプリケーションを開発できれば、業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進スピードを飛躍的に向上させることができます。
一方で、OutSystemsに対して「プロフェッショナル向け」や「使いこなすのが難しそう」というイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか?

本ブログ記事では、身近な市民開発の例として、ExcelやAccessによって管理していたバックオフィス業務をOutSystemsでWebアプリケーション化する方法を解説します。
また、記事の後半では、Excelのマクロ・VBA機能を使って実装していたロジックを作成したWebアプリにカスタマイズする方法や、外出先でも操作しやすいモバイルアプリ化など、OutSystemsならではの拡張性についてもご紹介します。

OutSystemsでExcel業務をWebアプリ化する方法①データモデルを作成

まず、Excel表をもとにデータモデルを作成しましょう。
OutSystemsでは、データ項目とサンプルデータを1行だけ記述したExcelファイルを用意するだけで、データモデルの基本単位である「Entity」を自動作成することができます。この「Entity」はデータベースにおけるテーブルと同じ意味で、データを蓄積したり、システム内でやり取りしたりするための単位となります。
例えば、次の表のように、Excelで作成された備品管理台帳があったとします。

<Excel台帳例>

この1つのExcelの表(テーブル)が、OutSystemsにおける「Entity(エンティティ)」に対応します。また、各列(管理コード、備品名称など)は、「Attribute(アトリビュート)」と呼びます。
このEntityの名前や、Entityが持っている各項目の名前には英語を使う必要があるため、先ほどの台帳を元に、英語の項目名とサンプルデータ(1行)のみのシンプルなExcelファイルに作成しましょう。

なんと、事前の準備はこれだけです。後は、Service Studioを起動して、下図のようにOutSystemsにExcelファイルを読み込ませてください。

この操作によって、以下4つの要素が自動作成されます。
特に、Entityは、ExcelファイルのデータをもとにOutSystemsがデータ型(文字列、数値、日付など)を判断して、各項目の定義まで自動生成してくれます。

  1. Entity:データ蓄積するための箱・テーブル
  2. Structure:データを1つのカタマリとして複数箇所で再利用するためのデータ定義
  3. Bootstrap Timer Action:Excelファイルに記述したデータをEntityに格納するための処理・ロジック
    *初期設定では、アプリケーションのパブリッシュ(サーバへの配置)をした際、エンティティにデータがない状態であればExcelファイルからデータを読み込むようになっています。
  4. Resource Excel File:読み込んだExcelファイルの実データ

これで、台帳管理のベースとなるデータモデルをOutSystemsで作成することができました。

OutSystemsでExcel業務をWebアプリ化する方法②一覧画面と詳細画面を作成

次に、新しい備品の登録や一覧表示を行う画面を作成しましょう。
OutSystemsでは、作成済みのデータモデルを利用して、ドラッグアンドドロップ操作で、データの一覧表示画面と詳細登録画面のセットを即座に作成することができます。

先ほど作成したエンティティを、UI Flowにドラッグアンドドロップすると、ページングや検索ボックスのついた一覧画面と、標準バリデーションチェックのついた詳細画面(入力フォーム)が作成されます。

生成された画面をブラウザから表示したイメージは下図の通りです。
予め選択したテーマカラーで統一された一覧表示画面と詳細登録画面を作成することができました。
   

OutSystemsでExcel業務をWebアプリ化する方法③ロジック追加/モバイル対応

作成した一覧表示&詳細登録画面は、OutSystems上でイチから作成した画面・ロジックと同じように、ローコード開発で思い通りにカスタマイズを加えることができます。

  • カスタマイズ例①:バリデーションチェックの追加
    データの正確さ・整合性を保つためには、不正なデータをシステムで登録できないようにする必要があります。OutSystemsでは、ローコードでバリデーションチェックとエラーメッセージの表示を実装することができます。
  • カスタマイズ例②:モバイルデバイスアプリ開発
    リモートワーク・在宅勤務が広がる中で、モバイル端末からタイムリーにデータ検索や更新をしたいというニーズは増えることが予想されます。OutSystemsでは、Webアプリの開発スキルで、レスポンシブ対応でモバイルでも見やすいUIを実装したり、モバイルに特化したアプリを開発したりすることが可能です。

その他にも、Excelライクなテーブル、グラフ、PWAなど、使いやすいUIコンポーネントを標準が用意されています。

まとめ

さて、ここまでOutSystemsでExcel業務をWebアプリ化する方法を解説して参りました。
「ローコード開発といっても難しそう…」というイメージをお持ちの方もいらっしゃったと思いますが、OutSystemsでシンプルなデータモデルを作成し、一覧&編集画面を手軽に開発可能な点、さらなる機能追加もフローチャートで対応可能な点を体感いただけたのではないでしょうか。

OutSystemsが自動作成したデータモデルやロジックを再利用しながら、ユーザーのニーズに合わせて使いやすいUIを素早く提供することで、Excelで管理していた業務を飛躍的に効率化させることができます。現場の業務効率化の処方箋として、まずは身近な業務(例えば、備品や機器類の台帳管理、勤怠&外出先の共有、従業員の健康管理 など)をローコード開発でアプリケーション化してみてはいかがでしょうか?

OutSystemsは、Excel業務をWebアプリケーション化できるだけのツールではなく、アプリケーションのローコード開発を実現する“プラットフォーム”です。OutSystemsを「Excel業務のWebアプリ化ツール」として評価した次には、「OutSystemsが、他にどんな種類のアプリケーションを開発できるか」にも着目してみてください。皆さまのローコード改革を成功させるための大切な観点になるはずです。

本ブログは、2022年11月1日時点の情報をもとに作成しています。
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