Snowflake上位認定資格「SnowPro Advanced: Architect」を取得するには?(Vol.26)

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Snowflakeには認定資格があり、取得することにより、Snowflakeに関する高度な知識とスキルを有していることを証明できます。
Snowflakeの認定資格には大別して2つの資格が存在します。

  • SnowPro Core認定資格
    Snowflake
    の導入/設計/開発/運用管理に必要となるコアな知識を身につけていることを証明するためのベーシックな資格
  • SnowPro Advanced認定資格
    SnowPro Core認定資格の上位認定資格であり、より高度な知識と実践的なスキルが証明できる資格

 SnowPro Advanced認定資格には、アーキテクト/データベース管理者/データエンジニア/データサイエンティスト/データアナリストの5つが存在します。

 本ブログ記事では、その中から「SnowPro Advanced: Architect」にフォーカスし、試験内容/合格に向けた試験対策(学習)方法/資格取得によるメリットについて詳しく解説します。
*Snowflakeの資格種類などについては、「
Snowflakeの資格を取得・更新する方法とは?(vol.11)」でご紹介しておりますので是非ご覧ください。

Snowflake上位認定資格「SnowPro Advanced: Architect」とは?

「SnowPro Advanced: Architect」は、AIデータクラウド「Snowflake」の高度な知識とスキルを証明する認定資格です。Snowflakeを活用して、大規模なデータウェアハウスの設計、構築、管理を行うアーキテクトを目指す方にとって、非常に価値のある資格と言えます。
この認定試験は、以下のスキルを試験対象とします。

  • Snowflakeデータクラウドを使用してソースから利用までのエンドツーエンドのデータフローを設計する
  • ビジネス/セキュリティ/コンプライアンスの要件を満たすデータアーキテクチャを設計およびデプロイする
  • アーキテクチャのパフォーマンスを最適化するための適切なSnowflakeツールとサードパーティツールを選択する
  • Snowflake MarketplaceとData Exchangeを使用して共有データセットを設計およびデプロイする

また、試験は下表の形で実施されます。

項目 内容
問題の総数

65

問題の種類 複数選択 / 多岐選択
制限時間 115分
言語 日本語 / 英語
受験費用 375 USD
合格点 750点以上
試験会場 オンサイトの試験センター / オンライン試験

SnowPro Advanced: Architect の受験資格と対象者

受験対象は次の2点を満たしている場合に推奨されます。

  • 事前にSnowPro Core認定資格を取得していること
    SnowPro Advanced認定資格を受験するには、SnowPro Core認定資格を取得していることが必須です。(合格していても、有効期限が切れていないか、注意しましょう)
  • 本番環境においてアーキテクトとしてSnowflakeの実務経験を2年以上積んでいること
    2
    年間の実務経験において、SQLとSQLアナリティクスに関する実践的な専門知識を身に付け、複雑なETL/ELTパイプラインの構築 及び セキュリティ/コンプライアンス要件の実装 を経験し、様々なデータモデリング手法を活用していることが想定されています。
    さらに、SQL以外でのコーディング経験 及び DevOps / DataOps の設計経験があればなお良いとされています。

 受験対象者としては、以下のような方が挙げられます。

  • ソリューションアーキテクト
  • データベースアーキテクト
  • システムアーキテクト

試験範囲はSnowflakeのアカウントとセキュリティ、アーキテクチャ、データエンジニアリング、パフォーマンスに及んでいます。
(参照元) https://learn.snowflake.com/en/certifications/snowpro-adv-jpn/

Snowflake上位認定資格「SnowPro Advanced: Architect」の試験問題(例題/模範解答)

「SnowPro Advanced: Architect」の試験問題は、単純な知識の有無を確認する問題だけでなく、具体的な状況に合わせた解答が求められる問題が出題されます。

例として、次のような問題が出題されます。


<例題>

次の条件において、A社がB社とデータを非公開で共有したい場合、どうすればよいか。

【前提条件①】A社:AWSの東京リージョンにSnowflake環境を保有

【前提条件②】B社:Microsoft AzureのシンガポールリージョンにSnowflake環境を保有


<選択肢①>

  1. A社はMicrosoft Azureシンガポールリージョンで新しい Snowflake アカウントを作成します
  2. A社はデータベース オブジェクトを共有するために、AWS東京リージョン と Microsoft Azureシンガポールリージョンの間のレプリケーションを設定します
  3. A社は共有を作成し、データベース権限を共有に追加します
  4. A社は共有を変更し、B社の Snowflake アカウントを共有に追加します

<選択肢②>

  1. A社はMicrosoft Azureシンガポールリージョンで新しい Snowflake アカウントを作成するようにB社に依頼します
  2. A社は共有を作成し、データベース権限を共有に追加します
  3. A社は共有を変更し、B社の Snowflake アカウントを共有に追加します

<選択肢③>

  1.  A社は共有を作成し、データベース権限を共有に追加します
  2. A社はSnowflake Marketplace に新しいリストを作成します
  3. A社はリストを変更し、共有を追加します
  4. A社はB社にSnowflake Marketplace のリストを購読するよう指示します

<選択肢④>

  1. A社はMicrosoft Azureシンガポールリージョンでコンシューマーアカウントを作成します
  2. A社は共有を作成し、データベース権限を共有に追加します
  3. A社はコンシューマーアカウントを共有に追加します
  4. A社はコンシューマーアカウントの URL と認証情報をB社に共有します

<考え方>
Snowflakeにはデータ共有機能が存在しますが、データ共有は同じリージョンでのみ可能となります。そのため、同じ組織内のSnowflake環境であれば異なるリージョンであってもデータを複製できるレプリケーション機能とデータ共有機能を組み合わせて対応する必要があります。
*レプリケーション機能によるデータの複製は、同じ組織内のSnowflake環境でのみ可能です(他社のSnowflake環境へのレプリケーションは、Snowflakeの契約が異なり、別組織となるのでできません)

<模範解答> 
模範解答としては「まず、A社はデータ共有対象であるB社のSnowflake環境と同一リージョンであるMicrosoft Azureシンガポールリージョンで新しい Snowflake アカウントを作成し、次にAWSの東京リージョンにあるA社のデータをレプリケーション機能を用いてMicrosoft Azure のシンガポールリージョンに複製(セカンダリ環境を構築)、その後、データ共有機能を用いてMicrosoft Azure のシンガポールリージョンに複製したA社のデータをB社のデータベースに共有する」となり、選択肢①が正解となります。

 *Snowflakeのデータ共有/レプリケーション機能については、「Snowflakeのデータシェアリング(データ共有)機能とは?~データ共有の仕組みを解説~(vol.22)

Snowflakeのレプリケーション(複製)機能とは?~レプリケーションの仕組みと活用方法~(vol.23)」でご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

 このように、「SnowPro Advanced: Architect」では、Snowflakeの様々な機能を組み合わせて回答を導き出す必要があります。
そのため、Snowflakeの豊富な機能の仕組みや活用方法を理解していないと合格するのが難しい試験になります。

つまり、「SnowPro Advanced: Architect」を取得しているということは、Snowflake構築時に発生する課題や問題に対するSnowflakeのアカウント/セキュリティ/アーキテクチャ/データエンジニアリング/パフォーマンス など、多岐にわたる機能の仕組みを理解しているという証明となります。

Snowflake上位認定資格「SnowPro Advanced: Architect」の試験対策方法

本章では、「SnowPro Advanced: Architect」に合格するための試験対策について、筆者が実際に行った試験対策をご紹介します。

  1. Udemyを利用する
    Udemy
    とは、世界中で人気のオンライン学習プラットフォームです。
    プログラミング/データサイエンス/ビジネス/デザイン など、幅広いジャンルのコースが提供されており、自分のペースで好きな時に学習することができます。
    Udemyにある試験問題を日本語に翻訳→回答する のサイクルを繰り返し実施しましょう。
    Udemyの中には様々な試験対策コースが存在しますので、是非、ご参考にしていただければと思います。

  2. Snowflake公式ドキュメントを確認する
    Snowflake
    社は、各機能に関する公式ドキュメントを公開しています。
    Udemyの試験問題で間違えた箇所を中心に、公式ドキュメントを確認して回答内容を理解するようにしましょう。
    *ご参考(データ共有の公式ドキュメント):
    Secure Data Sharingの紹介

  3. 30日間の無料トライアル環境を使用する
    Snowflake
    はトライアル環境を30日間無料で使用することができます。
    複数のトライアル環境を作成することもできるため、データ共有やレプリケーションなど、複数環境が必要な機能であっても、実際にSnowflake環境を触りながら確認することができます。
    前章のとおり、試験には具体的にどのような機能を用いて対応すればよいかを回答する問題もあるため、実際に無料トライアル環境を操作することで理解を深め、回答の精度を向上させることを推奨します。
    *Snowflake無料トライアル:
    https://signup.snowflake.com/?_l=ja

上記の内容が実際に試験対策で行った対策になります。
今後、「SnowPro Advanced: Architect」を受験する方の参考になれば幸いです。

Snowflake上位認定資格「SnowPro Advanced: Architect」を取得するメリット

「SnowPro Advanced: Architect」を取得するメリットは、次の通りです。

  1. 試験対策の過程でSnowflakeの知識が身につく
    「SnowPro Advanced: Architect」は、単にSnowflakeの機能を知っているだけではなく、活用方法についてもきちんと理解していないと合格できない試験のため、受験勉強を通じて実践的なSnowflakeの知識や活用方法を身につけることができます。
    SnowPro Advanced: Architect」の試験対策をしていなければ使用する機会があまり無かったであろう機能の組み合わせなど、試験対策を通じて身に付けた知識・活用方法が実際のプロジェクトにおいて役に立ったケースはよくあります。このように、「SnowPro Advanced: Architect」を所有していることで、Snowflake活用の幅が広がります。
  2. SnowPro Core 有効期限(EXPIRE DATE)が延長される

    SnowPro Advanced: Architect」はSnowPro Coreの上位資格であるため、SnowPro Coreの資格が必要となります。
    SnowPro Advanced: Architect」以外にもSnowPro Advancedの資格に合格することで、SnowPro Coreの有効期限(EXPIRE DATE)がSnowPro Advanced試験の有効期限(EXPIRE DATE)まで延長されます。
  3. Snowflake主催イベントで特典がもらえる
    Snowflake社が毎年各国で主催しているイベント「Snowflake World Tour」では、資格所有者のみ入れるブースがあり、保持している資格に応じて様々なイベントグッズがもらえます。
    2024年9月に行われた「Snowflake World Tour Tokyo」では、SnowPro Core所有者にはTシャツが、SnowPro Advanced所有者にはパーカーが配られており、ランチタイムにはイベントブースでお弁当も配られていました。

まとめ

ここまで、「SnowPro Advanced: Architect」の試験内容/合格に向けた試験対策(学習)方法/資格取得によるメリットについて解説してまいりました。
Snowflakeの認定資格を取得する過程で、Snowflakeの様々な機能について詳しくなり、活用方法を身に付けることができますので、ぜひ皆様もチャレンジしていただければと思います。

 筆者自身も、「SnowPro Advanced: Architect」資格の取得に伴い、SnowPro Coreよりも多くの知識や活用方法が身につき、実務においても役に立っていると実感しております。

 弊社は、Snowflake認定資格を所有しているデータエンジニアがお客様ごとの要件(用途/データ連携元の環境構成/今後の活用方法など)に応じたデータ分析基盤の構築/拡充や、クエリパフォーマンスの向上を考慮したデータ活用の実現に向けたデータマネジメント体制の整備などをご支援しております。
Snowflakeを用いたデータ活用でお悩みの際は、是非弊社までお声掛けください。

 本記事は、2024122日時点の情報をもとに作成しています。製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、弊社Webサイトからお問い合わせください。
https://itsol.dentsusoken.com/snowflake/inquiry/