Snowflake Summit 2023 体験レポート ~最新動向を非エンジニアの視点でわかりやすく解説~(vol.12)
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2023年6月に開催されたSnowflake社によるグローバルで最大のイベント「Snowflake Summit 2023」について、昨年との比較を踏まえ、普段は営業職として活動している非エンジニアの視点から、最新動向や注目のトピックスなど、最前線の様子をわかりやすくレポートします!
目次
Snowflake Summit とは?
「Snowflake Summit」は、Snowflake Inc.が、年に1度の頻度で開催している、グローバル規模のフラッグシップイベントです。
Snowflakeのパートナー企業だけでなく、ユーザー企業も参加することが可能です。最新情報をお届けするセッションの他にも、ハンズオントレーニングができたり、世界中のパートナーがブースを設けていたり、Snowflakeコミュニティ最大の立役者であるSnowflake Data Heroesが讃えられていたりと、データ活用コミュニティの醸成により独自の進化を遂げてきたSnowflakeの仲間たちの熱意・勢いを感じられるイベントとなっています。
今年の「Snowflake Summit 2023」は、2023年6月26日~6月29日にかけて、アメリカのラスベガスで開催されました。
昨年はコロナ禍による出張制限などもあり、コロナ前と比較するとまだ少し寂しい状況でしたが、今年は出張制限が解除された企業も多く、昨年よりも会場規模が大きくなったことなどから、多くの参加者が訪れ、大盛況となりました。
今年のキーノートは、Snowflake CEOの「FRANK SLOOTMAN」氏に加え、生成AI時代の中心人物であるNVIDIA CEOの「JENSEN HUANG」氏の登壇が事前に告知されていたため、その内容に注目が集まっていました。
次章からは、これらの注目トピックスについて解説していきます。
Snowflake Summit 2023トピックス①NVIDIAとの提携
事前告知の通り、今年のSummitの最初のセッションはNVIDIAとの提携の発表からはじまりました。この提携により、近い将来、SnowflakeでNVIDIAのマシンリソースが使えるようになるという画期的な発表でした!
NVIDIAといえば、昨今の生成AIの影の支配者ともいわれ、超大量データ処理におけるマシンパワーの源泉となっているソリューションです。
*NVIDIAは、アメリカに本社をおく半導体メーカーです。ゲーム/映像制作/放送/医療 など、ハイパフォーマンスなデータ処理が求められる多くの分野において、同社の半導体チップGPUが採用されています。
NVIDIAのエンジンをSnowflakeで利用できるようになることにより、超大量データ処理を伴うAI利用を自前化することができます。事前に学習されたモデルを用いて、自社独自のデータを追加で学習させていくことにより、専門性を高めることができます。
HUANG氏の「コンピューティング3.0の時代。コンピュートを少しずつ買い足さず、ターボチャージされた状態をつくる」といった言葉が印象に残りました。
Snowflake Summit 2023トピックス②Snowparkの進化が止まらない
2021年の「Snowflake Summit」において、Snowflakeの開発者向けフレームワーク「Snowpark」が発表されました。「Snowpark」を利用すると、Python/Java/Scalaを用いてSnowflakeにあるデータを操作することができるようになります。
この「Snowpark」に関して、新たに発表された2つのサービスをご紹介します。
- Snowflake Native App Framework
「Snowflake Native App Framework」により、Snowflake上でネイティブアプリケーションを開発できるようになります。さらには、開発したアプリケーションをSnowflakeマーケットプレイス上に公開することで、アプリケーションのシェアやマネタイズまで行えます。 - Snowparkコンテナサービス
「Snowparkコンテナサービス」により、コンテナ化を進め、NVIDIAのコンピューティングの利用や、LLMモデルや3rd Partyツールへのアクセスなどを安心・安全に行えるようになります。
また、Snowflake社は、2022年にStereamlit社を買収、今回のサミットで「Streamlit in Snowflake」としてサービス統合が完了したことを発表しました。これは、Snowflake上でStreamlitによるUI開発ができるようになったことを意味します。
このように、Snowflake社は、Snowflake上でいかにデータを使い倒せるかといった観点を重視し、データ活用に関する機能強化を急速に進めています。
Snowflake Summit 2023トピックス③Document AIによる非構造データの徹底活用時代の幕開け
今回のサミットで機能拡充が発表された「Document AI」は、2022年に買収したApplica社の生成AI技術をもとに開発された大規模言語モデルです。
「Document AI」は、文書ファイルからデータを抽出し、データ分析に適した形でSnowflakeに格納してくれます。
今回の発表では、あくまで文書ファイルが対象である=数ある非構造化データの一つにすぎないということが強調されていました。今後、様々なタイプの非構造データを取り扱えるサービスの発表が続くものと期待されます。
Snowflake Summit 2023トピックス④インダストリー別のユースケースの拡充
今年のブレイクアウトセッションや展示においては、金融/製造/ヘルスケア/流通/メディアなどの“業界”、あるいはマーケティングなどの“業務領域”に対応するエコシステムやユースケースが発表されていました。
その背景としては、Snowflakeによる「データの一元管理」 「マーケットプレイスから得られるデータ」 「ソリューションパートナー」、そして今回のサミットの注目トピックスでもある「データの活用」といった要素がそろったことにより、各“業界”や“業務領域”におけるデータ活用の一連のサイクルが整い、エコシステムができあがってきたということが考えられます。
まとめ ~DATACLOUD「Snowflake」は、SaaS型DWH・データシェア、その先へ~
本ブログ記事では、「Snowflake Summit 2023」において、特に印象に残ったアップデート情報を解説して参りました。
キーノートでは、ストリーミングデータ処理の新たな選択肢やML関数の拡充など、他にもたくさんの発表がされています。
ここまで読み進める中で既にご理解いただけたかと思いますが、Snowflakeの進化は「データをどう使うか」に向かっており、ユーザーにとってより使いやすく、システムにとって多様な形で活用できるよう、着実に進歩しています。
また、今回のサミットで、Snowflakeは次の3点を一つのプラットフォームで実現可能な、強力な基盤へと進化を続けていることが、よく理解できました。
- 構造化/半構造化/非構造データを取り込み、データ分析に適した形で格納し、Webアプリケーションやネイティブアプリの開発までSnowflake内で実現する
- Snowflakeに保管された「Single Source of Truth」(正しくセキュア)な状態のデータを、リアルタイムで高速に活用する
- マーケットプレイスを通じて、アプリケーションやデータをマネタイズする
世の中のデータの80%は非構造化データともいわれており、データ活用はまだまだ発展途上な領域です。生成AIの急激な発展からも感じ取れるように、データ活用はますます進化し、その中心にはSnowflakeが重要な存在を占めることになりそうです。
昼間のラスベガスは連日40℃を超える厳しい暑さでしたが、(海外のカンファレンスあるあるですが)会場内はエアコンでキンキンに冷え、Snowflakeならではの雪景色で彩られており、会場内は大いに盛り上がっていました。
次回は、2024年6月3日より、場所も変わってサンフランシスコでの開催となります。
皆さまも、機会があれば、是非、「Snowflake Summit」へ参加してみてください!
(誰からも来年も行っていいと言われていませんが、私も今から楽しみにしています!)
弊社は、データマネジメントの専門家として、お客様のデータ一元管理やデータ活用における戦略策定、データドリブン経営の実現に向けた真の“使える”データマネジメント基盤構築のご支援をしております。また、データマネジメントやアプリケーションの開発まで、一連のプロセスを通して、お客様のデータ活用に伴走して参ります。
Snowflakeの導入/活用でお悩みがございましたら、是非、弊社までお気軽にお問い合わせください。
◆ お問い合わせページ:https://itsol.dentsusoken.com/snowflake/inquiry/
*本ブログ記事は、2023年6月30日時点の情報をもとに作成しています。
製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。