AIとRPAの違いとは?組み合わせると何ができるの?(vol.3)
昨今、AIやRPAの導入事例がますます増加してきました。最近の事例では、2021年10月に国土交通省が「全国道路・街路交通情勢調査」において、調査員が交通量などをカウントする仕事をAIに置き換えて、今後は調査員による調査を廃止するという発表があり大きな話題になりました。
このようにAIやRPAを導入すると業務効率化に大きなインパクトが期待できるため、みなさまにおいても自社の業務にAIやRPAを導入することを検討されている方が多いのではないでしょうか?
しかしながら、AIやRPAについて漠然と「ロボットが人に代わって仕事をしてくれる」イメージは沸くものの、具体的にはAIやRPAがどの様に仕事をしてくれるのか?そもそもAIとRPAの違いは何なのか?など、わかりづらいことが多いため、「AIやRPAを導入したいけど、二の足を踏んでいる」というケースも耳にします。
そこで本記事では、AIやRPAを最もシンプルなイメージからとらえて理解を深めてみたいと思います。これから自社にAIやRPA の導入を検討されている方へ、AIやRPAの違い、それぞれの活用方法、そしてAIとRPAを組み合わせた活用事例へと掘り下げて解説いたします。
目次
AIとRPAの違いがわかる最もシンプルなイメージ
「業務の自動化」に視点において、RPAとAIをそれぞれシンプルに表現すると、「RPAは自動操作」ができて、「AIは自動判断」ができるという点が最もシンプルで大きな違いと言えます。
すでに皆様でも、「RPAはロボットのイメージでPCを自動的に操作してくれる。」、「AIは人工知能を持つロボットのイメージで自動的な判断と行動をする。」 このような理解をお持ちの方も多いと思いますので、RPAは自動操作で、AIは自動判断ということは至極当然のイメージだったかも知れません。
しかしながら業務の自動化においても、RPAは自動操作とAIは自動判断という違いと観点で、とらえてみると、RPAとAIの違いだけでなく、RPAとAIの役割分担も非常によく見えてきます。
例えば下の図のような契約業務を考えると、一連の業務は操作と判断を繰り返し行っていることがわかります。
契約業務ではたくさんの受付したデータを人がチェックや確認したあと、様々な部門で情報の伝達が行われ、会員データなどを基に審査を行い、システムへ登録するという流れの業務が行われています。このようなたくさんの操作と判断を繰り返す業務にAIとRPAを導入すると自動化することが出来るようになります。さらにAIとRPAを組み合わせることで一連の業務をストップすることなく自動化することも出来るようにもなります。
みなさまの会社でも「RPAやAIを導入して業務の生産性を上げたいけど、それぞれの使いどころがいまひとつわからない」という場合があると思います。そこでRPAを自動操作、AIを自動判断という違いと観点で捉えて、業務を観察してみることをオススメいたします。
AIとRPAがそれぞれ得意なこと
ここまでで、RPAは自動操作、AIは自動判断という違いを説明しました。
では、RPAとAIがそれぞれ得意なことを具体的に掘り下げてみたいと思います。
RPAの自動操作とは、PC上のソフトウェアや、データを操作し、収集、連携、通知、登録などを自動化することができます。また自動操作の対象は、Office製品、その他PCソフトウェア、あるいはWindows OS自体、また企業のNW上で繋がった業務システムまで、様々なソフトウェアが自動操作の対象となります。
一方、AIの自動判断とは、様々なデータについて、内容が何であるかを認識し、識別・分類し、
分析することで、人間に代わって判断や、将来の予測などを行うことができます。認識の対象となるデータは、画像、文書、音声などが主に挙げられます。
AIの自動判断についてもう少し具体的なイメージを解説します。
AIによる画像認識とは?
画像認識を用いると、画面上に描写されている人物や建物、そして文字などを認識し、
固有の名称や、属性、状態、数量などをデータとして識別することができます。
AIによる文書認識とは?
文書認識を用いると、人の会話(いわゆる自然言語)を認識し、識別することが可能になります。AIが文書の内容を文節や品詞に解析しキーワードを抽出します。この機能を利用し、例えば、アンケートなどから自社サービスの口コミを解析しサービスの向上に役立てられています。
AIによる音声認識とは?
皆様もすでに、スマートフォンやスマートスピーカーで、AIの音声認識を利用されている方は非常に多いと思います。「音声認識」を導入することで、人間の発話を音声解析し、文字としてデータ化することで、ネットワークで接続された様々なコンピューターを自動操作することが可能です。
AIとRPAの違いはわかったけど、組み合わせると何ができるの?
ここまでで、RPAはオフィス製品などからデータの収集やレポート化、その後のシステムへの登録などPC上のソフトウェアの自動操作が得意なことがご理解できたと思います。AIは画像、文書、音声などのデータを分析することで認識や識別から自動判断が得意であることがわかりました。AIとRPAの違いも徐々に明確になってきたのではないでしょうか。それぞれの違いの理解が深まったところで、次にAIとRPAを組み合わせると何ができるか説明いたします。
業務事例: AI-OCRで紙からデジタルデータへ変換
昨今、RPAとAIの組み合わせで多く活用されている主な事例はAI-OCRで紙からデジタルデータへ変換する取り組みです。
AI-OCRの発達により紙帳票のデータ化の手間が軽減されたことから、受発注書や申請書などのデジタル化に取り組む企業が増加しています。 一方で、OCRの後に続くデータの仕分け、読み取ったデータの確認や修正、システムへのデータ入力など人手の作業がまだまだ多く発生し、人的コストが増加してしまうといった導入課題もあります。
AI-OCR にRPAを組み合わせることでスキャナーに帳票を投入した後、ロボットがデータを収集しOCR処理を実行、システムへ入力するまでの一連の作業を自動化することが可能です。また、RPAの導入によりロボットによる一連の作業の中に、人間によるデータ確認や修正をシームレスにつなげられ、自動化プロセスを分断することなく実行できます。ワークフローシナリオの中での入力前の上長承認、否認処理なども実現可能になります。今後、AIとRPAによる紙からデジタルデータへ変換は、業務で非常に浸透する取り組みになると考えられます。
AIとRPAの違いを理解して、効果的に導入するには
さいごにAIとRPAを効果的に導入するための大切な点を説明させていただきます。それは「小さく始めて大きく育てる」という考え方です。AIもRPAも革新的な取り組みになるため、導入にあたってはまず企業内で変化を進めるための理解促進が重要です。また実務的な課題ではAIは学習するためのデータ収集や運用なども必要になります。よって、まずは概念実証などから「小さく始めて」、効果や課題をもとに変化の道筋を立てて「大きく育てる」というアプローチが効果的な導入方法になります。
まとめ
本記事では、AIとRPAの違い、それぞれの得意分野、役割分担、AIとRPAを組み合わせた業務事例、「小さく始めて大きく育てる」という内容を解説してきました。みなさまの業務でAIとRPAの導入する際にぜひ想起していただけると幸いです。
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