Salesforce Lightningによるノーコード・ローコード開発のメリットとアプローチを紹介
目次
序章
Salesforceを自社に導入する際にまず行うのが、会社の業務や仕組みに合わせてSalesforceをカスタマイズすることです。どのような情報を管理するのか(オブジェクト)、それぞれの情報でどういう項目を管理するのか(カスタム項目)、情報間で連携が必要なことは何か?(フロー)を検討した上で、Salesforceのカスタマイズ機能を使って実施します。本記事ではSalesforce Lightningプラットフォームのカスタマイズ機能のうち、ノーコード開発、ローコード開発にフォーカスしてご紹介いたします。
Salesforce Lightningプラットフォームでのカスタマイズ方法とは?
会社の業務や仕組みに合わせてSalesforceをカスタマイズする方法は以下の3種類あります。
ノーコード開発・ローコード開発
ノーコード開発は、プログラミング言語を必要とせず、主に画面操作でカスタマイズする方法で、ポイント&クリックと呼ばれています。画面に表示されるガイダンスに従って、マウスとキーボードで必要な項目を選択、入力するだけの操作です。
ローコード開発は、ポイント&クリックで作成した機能について少しコードを足してカスタマイズする方法です。たとえば、項目の値を使った数式を記述したり、ユーザの入力ミスをチェックしてエラーとして弾くために正規表現を記述したり、といった具合です。
Salesforceでは多くことをノーコード開発とローコード開発で実現できます。学習ツールとしてTrailheadを提供しており、プログラミングに詳しくない人でもTrailheadで学ぶとカスタマイズの方法を体系的に習得できます。
ハイコード開発
Salesforceでは、Apex、Visualforce、Lightning コンポーネントフレームワークというプログラミング言語によるカスタマイズ機能が提供されています。ノーコード開発、ローコード開発、ハイコード開発の方法の中では、最も自由度が高く幅広いニーズに対応するカスタマイズができます。
その反面、プログラミング言語の習得に関する学習コストが高く、開発初期コストがかかります。また、運用開始後の要望への対応、Salesforceの年3回のアップデートでの動作確認、対応などのメンテナンスに関わる体制、コストも十分に考慮する必要があります。
ハイコード開発にかかる開発初期コスト、メンテナンスコストを効果が大きく上回ることが期待される場合には、採用すべきカスタマイズ方法と言えるでしょう。
事業企画者が押さえておくべき
ローコード開発のメリットと成功事例
Salesforce Lightningでのノーコード開発でできること
Salesforceでは、マウスとキーボード操作だけで、以下のようなことをカスタマイズできます。
情報を管理する器(オブジェクト)の作成
Salesforceでは、取引先、取引先責任者、リード、ケース、行動、ToDo、商談、契約、注文などの標準的に利用できるオブジェクトが提供されています。自社で管理したい情報がこれに該当しない場合は、新しく器をオブジェクトとして作成できます。
管理する情報の項目の作成
自社で管理したい情報の項目がない場合は、新しくカスタム項目として作成できます。作成はウィザード形式で、項目名、型、画面への配置などを順に設定していくだけですので簡単に実行できます。
画面への項目の配置
標準項目やカスタム項目を画面にどのように配置するのかをページレイアウトで設定できます。
Salesforceは、複数列で項目を設定でき、項目をグループ化することも可能です。画面への項目の配置は、マウスで項目をドラッグ&ドロップするだけですので直感的に操作できます。ページレイアウトでは、項目の配置だけでなく、必須入力、表示のみも指定が可能です。
カスタムレイアウトのページ作成
Salesforce Lightningでは、画面をより柔軟にカスタマイズするための機能としてLightningアプリケーションビルダーが提供されています。Lightningアプリケーションビルダーでは、画面全体を使って情報の項目、情報に関連する情報、レポートなどを自由に配置し表示できます。前述のページレイアウト機能も大切ですが、業務の特性や好みに合わせて画面全体をカスタマイズすると、より使いやすくなります。
Salesforce Lightningでのローコード開発でできること
Salesforceではフローと呼ばれる情報を連携する自動化機能が提供されています。フローの利用シーンとしては以下のようなものがあります。
- 商談が成約したら上司に報告するとともに、経理へ販売管理への登録を依頼する
- 商談が成約したら、契約情報を作成する
- 大きな商談を失注したときに、上司や関連者に報告する
- お客様との保守契約の終了が近づいたら、営業担当者に連絡する
フローは、画面操作のみで自動化処理を作成できます。以下のパーツを組み合わせて作成します。
- レコードの作成、更新、削除、取得
- 条件分岐
- 繰り返し
- アクション
- 外部サービス呼び出し
フローでは、作成した処理をデバッグするとても強力な機能が提供されています。デバッグ機能には以下の特徴があります。
- Salesforceに登録されているデータを使ってデバッグできる
- フローの中で、データを作成、変更、削除しても実データには影響しない(元通りに戻る)
- 実行された処理のルート、各処理での詳細情報が表示される
フローは処理をどのように組み立てるかを考える必要があり、ITを初めて触れる方にはやや高いハードルがあります。しかし、業務効率向上やミス抑制にはとても効果的ですので、ぜひチャレンジして欲しい機能です。
Salesforce Lightningでのノーコード・ローコード開発で気をつけたいこと
これまでにご紹介しましたノーコード開発・ローコード開発機能は、比較的簡単に使用できます。ノーコード開発・ローコード開発機能を利用する場合には、以下の点への考慮が必要です。
画面の項目、画面への項目配置、アプリケーションページの変更
画面のレイアウト、画面の項目の変更は即時反映されます。突然変わってしまうと利用者が混乱する可能性があります。事前に十分に影響を検討し、変更する際には事前に利用者へアナウンスするなどの配慮が必要です。
フローは十分にデバッグしてから有効化
フローは、作成した処理を十分にデバッグしてから有効化しましょう。作成した処理の全ルートが正常に実行できる、使用するデータの有無、バリエーションを考慮するなどの視点でデバッグを行うことが大切です。
フローは有効化すると、Salesforce環境で動き始めます。デバッグが不十分でエラーが発生すると、データが登録できないなどの問題が発生します。運用後であれば業務で問題が発生し現場のユーザが混乱しますし、開発中であってもエラーが発生して他の開発者の作業やテストが進まなくなる可能性があります。
ローコード開発者の育成
ローコード開発は、処理をどのように組み立てるか、どのパーツをどのように組み合わせるか、確実なデバッグのテクニック、Salesforceのガバナ制限に抵触しないような工夫などのスキルが必要になります。
やや学習コストが高いため、ローコード開発ができる人材の育成にはコストと時間が必要です。
継続的に作成、メンテナンスできるようローコード開発ができる人材の育成は計画的に行いましょう。
まとめ
「Salesforce Lightningによるノーコード・ローコード開発のメリットとアプローチを紹介」と題し、Salesforceのノーコード開発・ローコード開発についてご紹介してきました。
Salesforceでは、ポイント&クリックによる簡単な操作でプログラミング知識のない人でも自社の業務に合わせてカスタマイズを行うことができます。従来、人が行っていたことを自動化できますので、業務効率向上やミス抑制を期待できます。そして、一度構築したら終わりにするのではなく、現場の利用状況を確認しながら適時必要なカスタマイズを行っていくと、効果が大きくなります。ぜひ取り組んでみてください。
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