RPA化する目的とは? 期待効果で働き方を変えよう!(Vol.22)
RPAの活用は大企業から徐々に中小企業へも広まっています。どのようにRPA化する業務を決めたらよいでしょうか?RPA化にはどんな業務が適するのか?またRPAを使いどんな効果が期待できるのか?そして中小企業でもDXのツールとして活用できるのか?
本記事では、改めて3つの観点からRPA化する目的を確認し、中小企業でのDXを進めるための手法について解説いたします。
RPA化できることは?
ここ数年でRPAに対する認知も広がり、中小企業や自治体においても活用する動きが始まりました。RPAの活用は、大企業だけでなく中小企業においても有効なのでしょうか?
① PC作業の定型業務
今や企業のサイズを問わずPCを使った業務管理は当たり前になっています。決まった時間にメールチェックし添付ファイルのダウンロード、マーケット情報を収集し複数ファイルの集計など、定期的に同じ手順の作業があればRPA化の候補です。イレギュラー手順が少ない数パターンの業務であれば、RPA化しやすい業務と言えます。
② 繰り返し量が多い業務
PCの普及により世の中の情報はデジタルに置き変わってきました。デジタルの方が再利用しやすく管理も容易になります。ただしそれに伴うPCオペレーションが発生します。システムへの登録作業を数十件から数百件まとめて入力する作業があればRPA化の候補です。日次でなくとも月末月初や5・10日にまとまった量を一度に捌く必要がある場合、RPA化すると大きな助けになります。
③ 正確性やスピードが求められる業務
PCへの登録作業が増えると、オペレーションの正確性やスピードが課題になります。定型業務を素早く実施できるというRPAの特性を生かせば、より正確性やスピードを求められる業務をこなせます。難しく煩雑なPCオペレーションはRPAに任せ、人間は結果のチェックを分担すれば、新しい仕事のパートナーとなるでしょう。
RPA化による期待効果
大企業では大量事務の一括実行により、「時間外作業」と「人員の削減」という定量面にフォーカスされがちですが、中小企業では定性面でも改善効果を実感できます。少ないリソース(社員)で経営するにあたり、ITを使いこなせる人材をカバーできるためです。
特に「〇〇さんしか出来ない」業務アプリケーションがあれば、属人化している業務をカバーできます。またピーク性のある作業をカバーしたり、人間ではないので作業を頼みやすい、といった面もメリットです。
RPAに仕事を任せるためには、自分達の業務の棚卸しができる(必要な業務を選別する)という点も、業務の改善につながります。今まで当たり前にやっていた業務を改めて振り返り、RPAにやらせる以前に、何のための作業か?本当はいつまでに必要か?確認しましょう。そして何をRPAにやらせるかを考え、これまでは何となくやっていた、前任者から引き継いだからやっていたという作業にメスを入れましょう。
- 役員に毎週情報を提供していたが、見ていなかった
- 当日中に連携していたが、実際は1週間後でも間に合った
- 相手のシステムが変わっていて、使えない情報になっていた
作業が分割されていると気づけない、冗談のような業務棚卸の「あるある」です。時間の経過とともに業務は常に変化していることが分かります。つまり定期的に確認の棚卸が必要なのです。棚卸をしてみると、効果を生まない無駄な作業やサービスレベルが可視化されます。RPAを作る以前に、改めて業務整理をするだけで無駄な作業が減り、改善につながります。
またこの見直しと合わせて、今までのやり方を疑い、今だったら使える新しいやり方を取り入れることも改善のポイントです。
- 必要なリストを手作成していたが、新たに導入されたシステムからキー指定により同じものが作れる(業務の置換)
- 部署ごとに手順1~5を順番にやるのではなく、1~4までやっておいた結果を全部署まとめて5を実施する方が早くできる(作業の集約)
- 担当者によってやり方が違うために、ミスやコンプラ違反が定期的に発生していたので、統一した手順とチェック方法に改訂(標準化)
RPA化が働き方を変える
このようにRPAを使うために現場の業務の見直すことで、以下のような変革を促します。
- RPAが作業できるよう、紙で扱っていた情報のデジタルへの置き換えが進む
- 社員が業務の棚卸により実作業の意義を見つめ直す
- 改善により業務が効率化されよりラクに仕事を出来ることを実感し、改善の正スパイラルが生まれる
単にRPAを作る目的ではなく、働き方をどう変えるか?という視点での考えや行動につながり、改善を習慣化する変容を生み出します。
またRPAを活用する人材が増えると、組織はどのように変わるでしょうか?企業の中でデジタルな情報管理にシフトし、スピーディーな連携を実現します。効率的なコミュニケーションに変わるため余計なストレスも軽減できれば、社員自身の働きやすさにも貢献するのではないでしょうか?
社員自身が働きやすさを実感できると、より多くの社員が活用するよう広がります。社員同士が共に教え合う風土を作れると改善の速度も上がり、解決力の向上につながります。その結果、組織の対応力やキャパシティを向上につながるのです。
まとめ
今回は「RPA化する目的とは?期待効果で働き方を変えよう!」と題し、RPA化に適した業務範囲と期待効果、そして働き方の変化について解説しました。RPAに取り組む際に業務改善とセットで行うことで、効率化につながることがご理解いただけたのではないでしょうか?
RPA化できる業務には、RPAが効果を発揮できる業務を適切に選定しましょう。定型的で繰り返し行われる作業であれば投資効果が得やすいと言えます。また人間にはない正確さやスピードを活かせる業務にも有効です。
RPA化の効果を考える時には、まず業務を渡す前に業務自体を見つめ直しRPA化する範囲を決めましょう。その上で複数の視点から期待効果を評価してはいかがでしょうか。削減時間以外にも考えられるRPA化の付加価値から、どのように業務を助けてくれるのか判断できます。そしてRPAの活用により、自分たちの働き方を積極的に変えていきましょう。
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