RPA×AI×OCRで めざせ徹底的な業務効率化!(vol.10)

2021.12.27

RPAは導入したけれど、なんだか手作業や雑業務にかかる時間が思うように減らない、もう一歩業務を効率化にする方法が知りたい、そんな企業も少なくないのではないでしょうか。
次なる効率化のカギは、「AI」と「OCR」との組み合わせにあります。
RPAと「AI」「OCR」を組み合わせることで、どんな業務が自動化できるのか、どこまでの業務効率化が目指せるのか。「RPA導入」のその先の「徹底的な業務効率化」ビジョンを解説いたします。

RPA導入したのになぜか効果が感じられない

人間が行っていた定型作業を短時間でミスなく行うRPAは、業務効率化や生産性向上に非常に効果的な選択であり、いまや当たり前のIT技術になりつつあります。一方で、RPAを導入したにもかかわらず、結局事務作業の一部を人間が行うケースは少なくなく、RPAの効果がいまひとつ感じられないという企業も少なくないのではないでしょうか。

RPA導入後も、事務作業を人間が行うことになってしまう理由は、次の3つが考えられます。

  • 例外パターンが多く、都度対応が必要である
  • デジタルデータになっていないデータがあり、人間による入力が必要である
  • 人間による判断が必要など、属人的な作業箇所がある

特に、「デジタルデータになっていないものがあり、人間による入力が必要」という課題は、昨今叫ばれるペーパーレス化と密接な関係があり、どの企業においても、RPAによる業務効率化のボトルネックとなりがちな問題です。

それでは次に、RPAによる業務効率化とペーパーレス化の関連性についてお話します。

RPA導入後も立ちはだかる「紙帳票」の壁

RPAによる自動化対象として、多くの企業が選定する業務には、以下のようなものがあげられます。

  • 入金・支払い業務
  • 交通費・経費精算業務
  • 勤怠管理・給与計算
  • 受発注業務
  • 請求書や支払い明細の発行・メール送付
  • 住所変更、社会保険、入社・退職手続き

社内業務に対してRPAを導入する企業は非常に多いものの、ペーパーレスに3年以上前から取り組んでいる企業は4割程度、直近3年で取り組み始めた企業を含めてようやく6割程度(2020年3月総務省発表調査)と言われています。ペーパーレス推進は近年進みつつあるものの、テレワークが進まない原因は依然「紙の書類(請求書、契約書等)の確認や押印」「内部決裁書類への押印」などにあることも報告されており(2020年7月CFO協会報告調査)、RPA化したとしても、紙媒体からのシステム入力など、一部手作業が残ってしまっていることも少なくないと推測されます。

また、扱うデータ量や業務量が多いことに加え、ミスが許されない経理業務は、RPAにより大幅な業務時間の削減や効率化を見込める業務と言われますが、一方で、「紙」と切っても切れない業務であることも事実です。
仮に自社内で100%のペーパーレス化を実現したとしても、取引先企業は請求書を紙で発行する可能性もあります。実際に、2020年夏に発表されたテレワークに関する調査では、「請求書発行」がペーパーレスしたい業務3位、「請求書受領」が5位にランクインしています。請求書を紙で発行したり、それを受け取ったりする企業はまだまだ少なくありません。加えて、店頭やタクシー等で受領する領収書も紙であることがほとんどです。国レベルでペーパーレスが実現されない限り、経理業務では紙媒体のデータを扱わざるを得ないというのが現実でしょう。

多くの企業がRPA化している、あるいはRPA化したいと考える業務は、いまだ「紙」と切り離せない業務であり、そのことがせっかく導入したRPAの効果を低減させてしまう原因となっている可能性があるのです。

OCR/AI-OCR導入だけでは減らない「手入力」「手作業」業務

前述しました、いまだ残り続ける紙媒体データをデジタルデータにするための技術がOCR(Optical Character Recognition/Reader:「光学文字認識機能」)です。画像データのテキスト部分を認識し、デジタルデータに変換する技術であり、RPA同様の業務効率化ツールとして知られています。
従来のOCRは、認識精度があまり高くなく、結局人間の手で修正入力をする手間がかかってしまうことも多いと思われていました。しかし、近年では、OCRに機械学習や自然言語処理といったAIを組み合わせた「AI-OCR」が発達し、より精度高く、紙媒体データをデジタル化できるようになったことで、再び注目されています。
例えば、これまでは難しかった表内の「1」や「7」といった数字の読取や、取り消し線が引かれた文字の読み飛ばしなども、AI-OCRでは可能になっており、通常業務に耐えうるレベルの精度が実現されていると考えられます。さらに、「AI」が組み込まれているため、使用すればするほど精度が向上することも期待できます。

一方で、残念ながら、OCR/AI-OCRツールで自動化可能な範囲は、ほとんどの場合、デジタルデータの出力および指定フォルダへの格納までです。そのため、OCR/AI-OCRツールの導入だけでは、出力されたデータをシステムに登録する作業は自動化することができず、徹底的な手入力や手作業削減にはつながりません。

RPA×AI×OCR 3つの導入だからこそ目指せる業務自動化

ここまでお話してきたように、多くの企業が業務効率化や生産性向上を目指し、自動化したいと考える業務は、紙媒体との結びつきが強いのです。よってRPAだけではいまひとつ効果を感じられないことが少なくありません。とはいえ、OCR/AI-OCRだけの導入でも手作業の大きな削減にはつながらず、業務効率化や生産性向上は見込めません。

徹底的な業務効率化のために重要なのは、RPA、AI、OCR、3つを組み合わせて導入することです。
「AI-OCRによって精度高くデジタル化された紙媒体のデータを、RPAがシステムへ自動登録する」
これによって人間が行う作業は、紙媒体のデータがあったとしても、書類のスキャンと確認作業のみとなり、大幅な業務自動化、効率化を実現できるのです。

たとえば、前段でお話した経理業務の一つである請求書処理も、RPA×AI×OCRで、次の3つのことが自動化できます。

  • 勘定コードや原価センタの記入
  • 各社ごと・内容ごとの仕訳作業
  • 基幹システムへの手入力作業

これらすべて自動化により、請求書の一括スキャンと登録結果の確認のみで業務を完了させることが可能になります。

RPAは導入したけれど、なんだか手作業や雑業務にかかる時間が思うように減らない、そう感じていれば、自動化業務の前後に紙媒体のデータが潜んでいないか、見直してみてください。答えがYesであるのならば、次なる効率化のカギは、「AI」と「OCR」との組み合わせにあるかもしれません。

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