UiPathライセンス体系の移り変わり
~Flexプラン統合で考えること~(vol.37)
皆さん、RPA使ってますか?
RPAが日本で一般的に認知された時期を2018年前後と考えると、はや5年以上が経過しようとしています。UiPathは2017年に日本上陸してから、順調にユーザ数を拡大しています。さて、先日UiPath社から「Flexプランへの統一」というライセンス体系に関する発表がありましたが、UiPathもこの5年半で多くのライセンス体系変更を行っています。
本記事では、UiPathライセンス体系のこれまでの変遷の概要を振り返りつつ、Flexプランはどのようなメリットがあるのか?について考えてみたいと思います。また、そこにはRPAがビジネスに浸透していく過程とサービスの拡充が見えてきます。
Node Lockedから
Named Userライセンスへ
①黎明期:Node Locked/Named User
2017年のUiPath日本上陸当初、UiPathライセンスは実行者用と開発者用として、以下の2種類のライセンスから選択できました。(簡便にするため、ここではUnattended RobotやOrchestratorは一旦除きます)
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Node Lockedライセンス:端末に紐づくライセンス
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Named Userライセンス :ユーザに紐づくライセンス
Node Lockedライセンスは端末毎のライセンスで、UiPathをインストールした端末を複数のユーザで利用することが出来ました。RPAロボットが自動化業務を行なう端末を導入部署に新たに設置して利用していた企業も多かったのではないでしょうか。RPAを新たな派遣さんに見立てて、派遣さん(RPA)に専用端末を用意するイメージです。それに対してNamed Userライセンスは2023年8月現在も継続されている、ユーザに紐づくお馴染みのライセンスです。
従業員の端末とは別にRPA用端末を用意、RPA用端末でNode Lockedライセンスの利用という形態が、Named Userライセンスよりもよく見られました。また、RPAの積極的な活用を進める部門や従業員がいた一方で、段々と使われなくなり有効活用されているとはいえないRPAも出現。RPAを利用する人と利用しない人が二極化し、RPAの導入が思うように進まないというお話もよく聞かれたのは記憶に新しいところです。(もちろん、Node Lockedだけのせい…という訳ではないでしょう。)
②普及期:Named Userライセンスへ
そんなRPA黎明期から普及期に入ろうかという頃の2020年5月、UiPath社は一人に1台のRPAを志向した“A Robot for Every Person“を打ち出しNamed Userライセンスに一本化を発表、UiPathライセンスにおいて(少なくとも日本では)メジャーな利用形態だったNode Lockedライセンスの販売を終了しました。共有端末利用が基本的には不可(共有端末の利用者数分のNamed Userライセンス購入で可)となる体系に変更されたことから、当時は従来からのNode Lockedユーザにとっては、運用変更と共に必要ライセンス数の増加を余儀なくされる大きなインパクトある発表でした。
一方ではNamed Userライセンスへの変更で利用者毎のライセンスとなることで、これまで共有端末で利用していたRPAが利用者毎に専用の自動化ツールとなり、従来からの利用ユーザにとってはRPAの更なる積極的活用に、新たにライセンス付与されたユーザはRPAの新規ユーザとなって、RPAのすそ野が拡がった転機でした。
③拡大期:Automation Cloudの登場
“A Robot for Every Person”の浸透でユーザやRPAロボットが増えてくると、今度はそれらを管理するツールのニーズが必然的に強まります。UiPathの管理ツールといえばOrchestratorですね。
Orchestratorはそれまで、ユーザ企業のオンプレミス環境に構築されるライセンスのみで、Orchestrator導入・運用は別途サーバ構築が必要など費用面・オペレーション面ともに、企業によっては導入の障壁となっていました。このOrchestratorがUiPath社の用意するクラウド上で提供され、これまでユーザ企業自身で環境用意・構築が必要だった管理ツールの導入ハードルが一気に下がった新形態がAutomation Cloudでした。(クラウドOrchestratorとも呼ばれています)
Automation Cloudでは、従来独立したライセンスだったOrchestrator利用権が各Named Userライセンスに付与されたことで、UiPathライセンスの利用者は誰もがOrchestratorを利用できるようになった点は大きなポイントであり、前述の理由で導入に二の足を踏んでいた企業も積極的に利用を推進、Orchestrator利用が一気に拡大していきました。
同時に、クラウドでOrchestrator提供することにより、同時期に製品提供されたAction CenterやAI Center(当時はAI Fabric)、Process MiningやTest Suite等、Orchestratorを中心とした自動化の拡大基盤としてAutomation Cloudが利用されることで、新製品・技術のトライアルや部分導入も進めやすくなりました。
UiPath社はAutomation Cloudを”AI等と連携したエンドツーエンドでの自動化プラットドーム”とも表現しています。Automation Cloudは、誰もが管理ツールを気軽に利用可能とするだけでなく、RPA(UiPath)がOrchestratorを中心として様々な他システムや技術との連携を拡大する基盤、すなわち次なるRPA範囲拡大の礎だったと考えられます。
Flexプランの登場、統合へ
“RPAの民主化”
2019年夏ごろには既にあった表現でしたが、UiPath社のビジョンとして目にする機会も増えてきたと思います。
Named Userで一人一人にRPAが行き渡り、Automation Cloudで利用範囲拡大やAI等連携も可能となる基盤が手に入るようになりました。
とはいえ、企業や部門によってはInternet環境に自由に繋げないクローズドネットワーク内で仕事をしなければならないケースも多々あります。制限ある環境下も含めて、デプロイメント方式(環境)をユーザが自由に選択できる”Flexプラン”が登場します。Flexプランはデプロイメント方式(環境)を以下の3つからユーザが自由に選択・構築できるようになりました。
- オンプレミス
- Automation Cloud
- Automation Suite(プライベートクラウド内に構築されたAutomation Cloud環境)
Flexプランの登場に伴いAutomation Cloudライセンスと、2017年以来提供されていたオンプレミス環境用ライセンス(オンプレミスプラン)はFlexプランの一部として統合され、UiPathライセンスはFlexプランに統一されることとなりました。
Flexプランで享受できるユーザメリットは、以下と考えられます。
- デプロイメント方式を任意で選択できる
- Orchestratorライセンスが包含されているため、Orchestratorが利用可(ライセンスの一元管理、OC経由のロボット配布・Ver管理、OC利用前提での各種製品利用)
- 特にAutomation Cloud利用においては、従来の業務自動化だけでなく、AI CenterやProcess Mining、Integration Serviceなど、他のプラットフォームアドオンの機能を利用可能になり、より高度な自動化を加速させることができる(別途ライセンスが必要)
まとめ
本記事では、UiPathのライセンス体系の変遷を辿り、どんな体系変更があったのか、Flexプランに統一された意味について考えてみました。UiPath社が意図した方向ではないかもしれませんが、1ユーザの立場としてこの度のFlexプラン統合を受けて推測も含めてのご紹介です。違った見方や異なる視点・ご推察などございましたら、是非お声をお聞かせいただければ幸いです。
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