ローコード開発で画面からプログラムなしにできること

#ローコード開発
公開日:2024年07月10日(水)

序章

ノーコードツールやローコードツールについて、どういったイメージをお持ちでしょうか。「ローコード開発ってよく聞くけど、実際に何をどこまで設定できるのかイメージできない」「“ノーコード”ではないから、設定だけで実装できる場所は限られているのではないか」といった疑問を持たれているのではないでしょうか。本記事を通して、ローコードツールで具体的にどういったことができるのか、イメージいただければと思います。

ローコード開発ではデータ構造を画面から決められる

システム開発において、データ構造をどのように定義するか(どういった項目をデータベースに持たせるか。その際どのような組み合わせでテーブルを作るか)は一つの関門ではないでしょうか。加えて、アジャイル開発をはじめとした、短期間に小さな機能の開発とリリースを繰り返すような開発方法において、最初期に全てのデータ構造を予測することは、一層困難だと言えます。

一般的なデータベースでは、データベースの構造を変更する際には注意が必要です。すでにデータが存在する場合には、そのデータに影響が無いように項目を追加・編集する必要があり、場合によってはデータパッチなどを行い、本番環境に悪影響を及ぼさないよう注意が必要になります。

ローコード開発では、データ項目の追加をはじめとしたデータ構造を画面から設定することができます。実際にローコード開発プラットフォームiPLAssを例に画面を見てみましょう。
まず下記のようにEntity(データベースのテーブルにあたるもの)に名称を付けます。

そのうえで、Entityの中にProperty(データベースのカラムにあたるもの)を設定することができます。この画面上では、システム内の処理で使う「Name」とユーザが使う画面上に表示する「Display Name」、およびデータ型を示す「Type」を指定することができます。こうした設定に加えて、Validatorsの欄では、実際にデータを保存する際に行うエラーチェックが設定可能です。

先に述べた通り「この項目を追加したい」という要望があったとしても、スクラッチ開発では今あるデータを破壊するリスクに注意が必要です。ローコード開発ではこうした項目追加もツールが適切にデータを加工してくれるため、リスクを低減してくれます。

これらデータ構造の設定は、通常のシステム開発ではデータベースに対してSQL言語として実行しなければならないため、事前の知識と適用するための準備が求められます。しかしこのように画面からデータ登録できる場合、開発者はデータ構造の中身などより業務面の検討に注力することができる点もメリットです。

エンジニアでなくとも閲覧画面・入力画面がローコード開発ツールで作れる

ローコードツールではユーザが使う画面を、ブラウザにて自分で作ることができるのもメリットです。データ構造を設定した後、その項目を画面上でどのように表示させるかを簡単に設定することができます。

プログラミングなしで、設定画面からこのような検索画面を簡単に作ることができます。この検索画面から、データの登録・参照・更新・削除の画面に遷移することができます。データの詳細画面と編集画面も、同様に作成することができます。必須で入力させたい項目や、数字で入力させたい項目、日付項目にはカレンダーボタンを付けてカレンダーから入力させることも可能です。これらの項目は保存時に値のチェックを行い、必須項目が空欄ならエラーを表示してユーザに入力を促すこともできます。

このように画面を簡単に作ることができるメリットはなんでしょうか。システムを開発するうえで、ユーザ別に画面を作らないといけなくなることは多く、当初の想定よりページをたくさん用意しなければならないときもあります。

例えばECサイトであれば、同じ商品に関する画面であっても、購入者用の画面、販売部門用の商品登録の画面、管理者によるメンテナンス画面などの様々な画面を準備する必要があります。
こうしたロールごとの画面全てをhtmlなどで作成するのは、コスト・開発・品質の面で非現実的ではないでしょうか。ローコードツールはこのような場面で、「購入者画面はUIにこだわりたいのでデザイナーを入れて作りこむ」「販売部門など社員が使う画面はツールで簡単に作成する」とメリハリを付けた開発ができます。

実際に弊社のローコード開発プラットフォームiPLAssを使用した開発現場でも、外部向けに公開されるサイトはhtmlを作成してUIにこだわり、一方で管理者用ページは設定のみで簡単に開発することがよくあります。CSVを用いたダウンロードやアップロードなどもサポートしているため、運用・保守時にも楽ができるというメリットがあります。

ここまでの話を聞いて「でもそれって、ノーコードツールでもできるよね」と思われた方もいると思います。ローコードツールでは「ユーザが画面を開くときにこんな処理をしたい」をプログラミングすることが可能です。

例えばこちらでは、2つの子データの数値を取得して親データに合計値を出しています。ほかのテーブルからデータを取得して加工して出力する、といった一連の処理が、1行のコード記入で実現されています。

プログラミングをすることで、より業務やユーザに合わせた複雑な処理を行うことが可能になります。こうした個別の業務に対応できる点がノーコードツールとの違いではないでしょうか。

ユーザ管理機能やセキュアなパスワード管理が画面だけでできる

システムを開発していくにあたり、近年ますますリスクが大きくなっているのはセキュリティのリスクではないでしょうか。どれだけ価値を提供できていようとも、氏名・メールアドレスをはじめとした個人情報が一度でも流出されてしまうと、企業としての信用失墜につながります。スクラッチ開発でイチから開発を行う場合、こうしたセキュリティ対策について各観点からテストを行い、セキュリティが担保されることを検証する必要があります。

一方でローコードツールでは、ユーザ管理機能やパスワード管理、ログイン画面などの共通で必要となる機能を標準装備しているものが多いです。画面からの設定だけで実装が済むため、様々なセキュリティ観点を考慮した実装から解放されます。
(なお、実際にローコードツールを比較・検討する際には、事前に各製品のセキュリティ対策についての問い合わせをおすすめします。)

こうしたセキュリティ対策と合わせて、ユーザの操作やデータベースへのデータ更新・削除などの監査ログを取得することも、システムでは重要です。不正アクセスや情報漏洩といったセキュリティインシデントの検知や調査に必要不可欠だからです。こうしたログ取得機能も多くのローコードツールでサポートされている点はメリットと言えます。

セキュリティ面に特化して述べてきましたが、こうした「どのシステムでも必要になる機能」が備えられているのはローコードツールのメリットです。運用・保守のために、項目や条件を保存しておき、いつでも検索実行・ダウンロードできる機能や、データパッチのためのデータ一括更新ツールなど、システム管理者用の機能も備えられています。

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まとめ

ローコード開発において、ブラウザ上からどういった設定をすることができるのか、どんな画面を作ることができるのか、イメージできたでしょうか。

ローコードツールは、

  • エンジニアでなくともデータ構造や画面を作ることができる。
  • 複雑な処理はプログラミングも併用することで、より業務に合ったシステムを実現できる。
  • システムの開発や運用・保守でよく使われる機能がサポートされている。

といった特徴があります。

弊社のローコード開発プラットフォームiPLAssは無償のOSS版を公開しています。実際にローコードツールでどんなことができるか、ぜひ試してみてください。
https://iplass.org/docs/overview/index.html

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