30年の現場知見とクラウドの進化が生んだ 次世代コンタクトセンター「iPLAss CX Edition」誕生の背景

#開発手法
公開日:2026年04月30日(木)

はじめに

コンタクトセンターを取り巻く環境は、ここ数年で大きな変革期を迎えています。少子高齢化や労働人口の減少を背景とした人材不足、オペレーターごとの対応品質のばらつき、キャンペーンや繁忙期による急激な呼量変動への対応など、従来の運営モデルでは対応が難しい課題が顕在化しています。加えて、個人情報保護をはじめとしたセキュリティ要件の高度化や、IT投資・運用コストの継続的な最適化も、企業にとって避けて通れないテーマとなっています。

こうした環境変化の中で、企業のコンタクトセンターには「柔軟に、スピーディーに、無駄なく運用できる」基盤が強く求められるようになりました。単に電話を受けるだけの拠点ではなく、顧客体験(CX)を左右する重要な顧客接点として、変化に強く、改善し続けられる仕組みが必要とされています。

電通総研では、これらの課題に真正面から向き合い、約30年にわたり培ってきたコンタクトセンター領域の知見と、近年急速に進化するクラウド技術を融合させた新たなコンタクトセンターシステムとして「iPLAss CX Edition」を製品化しました。本記事では、その誕生に至った背景と狙いについてご紹介します。

30年・40社超の支援実績から見えてきた共通課題

電通総研は約30年にわたり、金融、通信、公共、製造、小売など、40社以上の企業に対してコンタクトセンターの導入・刷新を支援してきました。その中で、業種や企業規模を問わず、共通して浮かび上がってきた課題があります。
それは、「パッケージ型CTI(※)やCRMでは、業務に完全にはフィットしない」という現実です。

標準機能で足りない部分は個別開発が必要となり、その結果、導入コストや期間が膨らむ。利用ユーザー数に応じてライセンス費用が増加し、繁忙期と閑散期の差が大きいコンタクトセンターでは、コスト最適化が難しい。さらに、改修のたびにベンダー依存が強まり、内製化や継続的な改善が進まないといった声も多く聞かれました。

つまり、「業務に合わせて柔軟に使えるはずのシステムが、いつの間にか運用の足かせになっている」という状況です。この構造的な課題を解消することが、電通総研にとって長年のテーマでした。
※CTI連携:電話(CTI)と業務システムを連携させ、着信時の状態管理や、顧客情報表示・通話履歴の自動記録などを行う仕組み。

クラウドCTIの進化とAmazon Connect

こうした中で登場したのが、AWSが提供するクラウド型コンタクトセンターサービス Amazon Connect です。Amazon Connectは、初期費用を抑えた従量課金モデル、短期間での環境構築、高い可用性とセキュリティといった特長を持ち、従来型CTIが抱えていた課題を大きく改善しました。一方で、実際のプロジェクトに適用していく中では、新たな課題も見えてきました。それは、「CTI基盤としては優れているが、顧客管理や応対管理などの業務アプリケーション部分は別途構築が必要」という点です。結果として、Amazon Connectを最大限活用するためには、柔軟かつ高速に業務アプリケーションを構築できる基盤が不可欠であることが分かってきました。

オープンソース・ローコード基盤「iPLAss」への着目

そこで電通総研が着目したのが、自社で開発・提供してきたオープンソースのローコード開発プラットフォーム 「iPLAss」 です。
iPLAssは、ノーコード/ローコードでの画面・業務ロジック開発、細かな権限管理、ワークフロー機能などを標準で備え、AWS環境との親和性も高いという特長があります。
「Amazon ConnectのCTI機能と、iPLAssの業務アプリ基盤を組み合わせれば、現場にフィットするコンタクトセンターをより短期間で提供できるのではないか」
この発想が、iPLAss CX Edition 開発の出発点でした。

現場知見を“そのまま使える形”に

iPLAss CX Edition の最大の特長は、単なるツールの組み合わせではない点にあります。
これまでのプロジェクトで蓄積してきた、「必ず求められる機能」「運用でつまずきやすいポイント」「改善が繰り返されてきたUIや権限設計」を整理し、最初から“使える形”として実装しました。
顧客管理、CTI連携、応対履歴管理、FAQ管理、レポート出力、細かなユーザー・権限管理など、コンタクトセンター運営に不可欠な機能を標準で備えつつ、ローコードでの拡張や変更も可能としています。

Amazon Connect と iPLAss の機能構成イメージ

なぜ「製品」として提供するのか

これまで電通総研は、個別案件ごとに最適なコンタクトセンターを構築してきました。しかしその経験から、「毎回ゼロから作るのではなく、知見を集約した“型”を持つことが、お客さまにとっても最適である」と考えるようになりました。
iPLAss CX Edition は事業成長や業務変化に合わせて段階的に拡張できます。また、将来的な内製化を視野に入れた支援も可能です。
これにより、「早く立ち上げ、使いながら育てていく」コンタクトセンター運用を実現します。

おわりに

iPLAss CX Edition は、約30年の現場知見とクラウド技術の進化、そしてお客さまの声から生まれた次世代コンタクトセンターソリューションです。
電通総研は今後も、顧客接点DXの中核として、iPLAss CX Edition の機能拡充と価値向上に取り組んでいきます。
また、顧客接点DXサイトでは、電通総研が提供する次世代コンタクトセンターソリューションをご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。