ローコード開発のメリットとデメリット 成功に導くために正しく理解しよう
序章
昨今のビジネス環境は、SNSの発展によるユーザニーズの急激な変化や国・企業のDX推進、人口知能(AI)などの技術革新、規制・法律の改正といった要因により目まぐるしく変化していきます。この変化に対応していくためには、これまでのプロコード開発では開発コストや開発スピードが合わないプロジェクトが多いのではないでしょうか?こういった解決策の一つとしてローコード開発という手法があげられます。では、ローコード開発を採用した場合、どういったメリットやデメリットがあるのかについて解説していきます。
ローコード開発ツールってつまらないの?ローコード開発の特徴とは
ローコード開発とはこれまで主流であったプロコード開発と比較しプログラミングを最小限に抑える開発手法です。ローコード開発ではプログラミング言語を極力使わずにグラフィカルなユーザーインターフェースでドラッグ&ドロップといった視覚的な手法を使用してアプリケーション開発を行います。
また、ユーザーインターフェースを使った開発だけではなく、複雑な要件がある機能についてはプログラミングでカスタマイズを行います。そのためノーコード開発とプロコード開発のメリットを兼ね備えた開発手法です。
ローコード開発を行うためにはローコード開発ツールを利用し開発を進めていきます。代表的なローコード開発ツールは以下の通りです。
【代表的なローコード開発ツール】
- iPLAss:
「複雑なシステムを早く作る」を実現する高い汎用性を持った電通総研製のローコード開発ツールです。社内業務システムから大規模Web会員管理システムまで多くのアプリケーション開発に利用されています。 - Microsoft Power Apps:
ビジネスユーザーやエンドユーザーがアプリケーションを作成し、データを統合するためのローコード開発ツールです。Microsoftのエコシステムとの統合が強力であり、企業向けのアプリケーション開発に利用されています。 - Salesforce Lightning Platform:
ビジネスプロセスを自動化し、カスタムアプリケーションを迅速に構築するためのローコード開発ツールです。SalesforceのCRMとの統合が容易であり、セールスや顧客関連のアプリケーション開発に適しています。 - OutSystems:
企業向けのアプリケーション開発プラットフォームで、ビジネスユーザーが簡単にアプリケーションを作成し、導入することができます。アプリケーションのフルスタック開発やデプロイメント、スケーラビリティの管理が可能です。
事業企画者が押さえておくべき
ローコード開発のメリットと成功事例
ローコード開発ツールを採用するメリット
ローコード開発ツールを使いアプリケーション開発を行う最も大きなメリットは、開発コストの削減と開発スケジュールの短縮です。プロコード開発であれば、すべての画面や機能をひとつひとつプログラミングする必要があります。しかし、ローコード開発ツールを使えば、簡単な要件であればプログラミングを行う必要はなく、画面や機能の開発が可能です。複雑な要件がある場合はその部分だけプログラミングしカスタマイズを行います。
このようにローコード開発ではプロコード開発とは異なり、必要な部分に絞りプログラミングを行えます。従って、すべての画面や機能をプログラミングする必要がなく、開発コストの削減や開発スケジュールの短縮を実現することができます。そのほかにも以下のメリットがあげられます。
- 開発リスクの削減
ローコード開発はプロトタイプ開発やアジャイル開発との相性がとても良く、要件定義など早い段階から実際のアプリケーションを触りながら進めることができます。そのため、実際にアプリケーションが出来上がった際に、要件定義や設計時に考えていた動きや使い勝手と異なっているといったリスクの削減が可能です。 - エンドユーザーの参加
複雑なプログラミングを行う必要はなく、GUIを使いアプリケーション開発が行えるため、専門的な技術を持たないエンドユーザーも開発に参加することが可能です。 - 高い柔軟性とカスタマイズ性
GUIでは設定できないビジネスプロセスや要件に対しても、アプリケーションをカスタイマイズしやすく、柔軟に変更が可能です。
ローコード開発ツールを採用するデメリットや注意点
ローコード開発ツールを使いアプリケーション開発を行う際に注意すべき点は、ツール選定です。ツールごとに具備している機能群や特性が異なるため、ビジネスニーズに合わせてツールを選定する必要があります。
検討する際にビジネスニーズに合わないツールを選定した場合、ローコード開発ツールのメリットを活かせません。つまり、プロコード開発よりも開発期間や開発コストがかかったにも関わらず、期待していたアプリケーションができなかったという事態を招きかねません。
そのため、ローコード開発ツールを使った開発を行う際は、要件定義もしくは要件定義の前のフェーズで、十分にツール選定をしなければなりません。
また、ローコード開発ツールには以下のデメリットがあげられます。そのため、こういったデメリットがあることを前提にツール選定を実施しましょう。
- 複雑なニーズへの対応が困難
ローコード開発ツールは比較的単純なアプリケーションの作成やビジネスプロセスに適しています。一方、特殊で複雑なビジネスプロセスがある場合には、実現が困難またはプロコード開発よりも開発コストがかかってきます。そういった場合には、ビジネスプロセス側をローコード開発ツールで実現しやすい形に合わせたほうが良い場合もあるでしょう。 - パフォーマンスの問題
ローコード開発ツールで作成されたアプリケーションはパフォーマンス面でプロコード開発を用いて作成されたアプリケーションに劣る場合があります。特に大規模なデータ処理を必要とする場合には、パフォーマンス問題が発生する可能性があります。 - ベンダーロックインのリスク
特定のローコード開発ツールに依存したアプリケーションを開発した場合、ベンダーロックインのリスクがあり、将来的なシステム拡張や移行が困難になる場合があります。 - ライセンス費用
ローコード開発ツールを利用する際に多くのツールではライセンス費用がかかります。ツールによって、サーバ課金やユーザー課金などライセンス体系が異なるため、アプリケーションの特性に合わせて適したライセンス体系をもつツールを選定したほうがよいでしょう。
まとめ
「ローコード開発のメリットとデメリット 成功に導くために正しく理解しよう」と題しまして、ご説明してまいりました。ローコード開発のメリットとデメリットや注意点についてご理解いただけたと思います。昨今、アプリケーション開発は以前よりもさらに低コスト、短納期が求められています。こういった流れの中で今後重要性を増してくるのがローコード開発です。
ローコード開発はローコード開発ツールの特性を正しく理解し利用することでアプリケーション開発の大きな武器となります。ぜひ、ローコード開発ツールのメリットやデメリットを正しくご理解いただいたうえで、ローコード開発ツールを使ったアプリケーション開発にチャレンジしてみてください。
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