RPAの意味は?(vol.16)

2022.02.21

RPAというソリューションの活用が、多数の企業で広がってきました。しかし、うまくいっている企業もあれば活用できずに頓挫してしまう企業もあり、その価値を必ずしも見いだせないケースがあります。RPAを使う意味はどんなところにあるのでしょうか?本記事では、改めて3つの観点からRPAの意味を見つめ直します。特徴を理解し活かすことで効果を最大化し、働き方改革として取り組む意味について解説いたします。

■RPAの持つ意味とは?

数あるITソリューションの中で、なぜRPAは新たなソリューションとして認知されてきているのでしょうか?それは、今までのITソリューションとは違った切り口で活用する解決策となっているからです。
RPAの意味は、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)を略して呼ばれています。これまで人間がPC操作で実施していた作業範囲、定型オペレーションを、人間に代わって自動的に代行・代替する仕組みです。ではなぜ改めて、人間ではなくロボットにやらせた方が良いのか?また今までのITソリューションとは何が違うのか?まずは整理したいと思います。

RPAは既存のシステムを使った、人間の操作を代行する自動化のアプローチです。つまり基本的には既存システムは使えるものとして最大限活用し、RPAは人が行うアプリケーション操作の範囲で自動化を実装するべきです。今までは人間がしていた複数のアプリケーションをつなぐ操作や、アプリケーションを使用する前後処理といった場面で、人手のかかる定型的で面倒な作業を引き受ける代替ソリューションです。

これは、新たにシステム構築するとは違うITのアプローチと言えます。RPAのシステム化範囲は主に既にあるシステム操作の自動化が中心になります。PC操作アクションをローコード開発ツールで簡易に構築し、短期間の開発で最大限の効果を生み出すという特徴があります。

システム間の連携方法と言えば、近年API(Application Programming Interface)を使用したシステム同士の結合方法も増えてきています。API連携を実現するには各システム側に連携するための接続プログラムを事前に作り込む必要があります。レガシーシステムでは時間やコストの観点でなかなか対応できず、APIによる接続方法が取れないのが現状です。そのような時に、RPAを使ったオペレーションによる代行の場合は既存システムには変更を加えず、安価に早く自動化を実現できます。その結果、現場主導の機動的な改善がしやすいというメリットがあるのです。

■RPAを活用する意味

RPAが持つ特徴を理解した上で、それを活用する意味を考えてみましょう。先にも述べた人間のPC操作を代替することがRPAの主な役割になるので、“単純なPC操作から人間を解放”し、人間の作業コストを削減する効果があります。PC操作代替により捻出された単純作業時間からの解放と、オペレーションミスができないという精神的プレッシャーからの解放との2つの面で、人間のストレスを低減し作業を楽にしてくれます。

単調な作業から解放され、本来人間でしかできない作業への時間配分が可能となることで、ビジネスを実行するための行動に注力できるのです。
そしてロボットが代わりに作業する場合、人間にはできない長時間の作業(場合によっては夜も休まず作業するなど)も可能となります。また人間では疲れなどから起こしてしまうオペレーションミスもないため、高い事務品質で作業が出来る、という効果もあります。

通常のシステム開発は、設計~開発~テストというサイクルを「数か月から数年」という単位で計画・実行するケースが多いでしょう。RPAは、ロボットによる自動化範囲の小さい単位での改善を「数週間から数か月」の中で繰り返し行うため、俊敏でタイムリーにシステム投資の効果を感じられるメリットがあります。

■RPAを働き方改革として進める意味

働き方改革の一つとしてRPAに取り組まれる企業も多いですが、そこではどのような意味をもつのでしょうか?
まず、現場の改善として考える結果、業務改革が自分ゴトになり本気の取り組みに昇華していきます。そしてデジタルツールを使った効率化が、仕事のやり方や自身の成長においてITを活用するという意識を実感として持てるようになります。この結果、自分の仕事を大きく拡げるためにITを活用する経験につながります。

労働人口減少により今後部下を増やせない中で、RPAは業務量に応じてロボットを増やしていけるのです。その結果、人手不足の現場においても工夫と創意により業績向上の施策として、現場の力となってくれるのです。

働き方改革の改善指標は、えてして「残業時間の削減」に目がいきがちですが、RPAの活用を通して現場のITリテラシー向上やマインド変革を起こすことで企業のDX実現につながります。組織としてRPAを活用する大きな意味を持つのではないでしょうか。

■まとめ

いかがだったでしょうか。今回は「RPAの意味は?」と題し、ITソリューションにおけるRPAの位置づけと、働き方改革の中で活用する意味について解説しました。RPA導入をうまく進めるためには、RPAの特性をしっかり理解した上で、その特徴を生かした導入の仕方が重要となります。その実現にはRPAが持つ優位性を広く関係者に理解してもらい、一緒に構築・活用していく組織改革をセットで進める必要があります。

単に技術的にロボット開発ができる人を増やすだけでは、組織でのRPA活用にはつながりません。RPAを浸透させるには、新システムが提供されるだけのIT投資とは違い、市民開発に適したソリューションとしてRPAの使い方を理解することが重要です。DXを押し進めるドライバーとして新しい働き方を意識しながら、活用の輪を広げていくことが鍵となります。

弊社では、このようなRPA活用の理解を深めていただくためeBookで「今こそ言える、RPA成功への近道 ~推進と活用の2軸から‘もう一度’はじめましょう!~」をご用意しております。本資料は、RPA導入や再活用に向けて成功の鍵となるポイントが凝縮された資料です。ぜひダウンロードいただき、ご覧ください。