自社に合うのはどれ?RPAの種類と特徴(vol.17)

2022.03.07

RPAの普及に伴い、RPAに関連する様々な製品やサービスが展開されている一方、適切なRPAの選定が難しくなってきています。自社に最適なRPAを選ぶためには、コストやサポート体制など様々な観点での判断軸をしっかりと持つことが重要です。本記事では、RPAを選定する上で基本かつ重要な判断軸の一つである、「RPAがどこで動くのか」という観点でRPAを大きく3つの種類に分類し、それぞれの特徴についてご紹介いたします。

■3種類のRPAとは?

RPAを「動く場所」で分類すると、「デスクトップ型」「サーバ型」「クラウド型」の3種類に分けることができます。「デスクトップ型」は、個人のデスクトップパソコンやノートパソコン上で動くRPAです。「デスクトップ型」は、「サーバ型」と比べて低コストで手軽に始められるため、簡単なExcel作成や単純なデータ収集など、個人が1台のパソコン上で行う作業の自動化に向いています。

一方、「サーバ型」や「クラウド型」は、サーバ(オンプレミス)やクラウド上で動くRPAです。サーバやクラウド上で動作するためデスクトップ型と異なり、多数の処理を同時実行することが可能であり、複数のシステムや業務を横断する作業や大量のデータを扱う作業の自動化に向いています。

「サーバ型」「デスクトップ型」「クラウド型」のRPAそれぞれの種類の特徴として、メリットとデメリット、向いている業務と向いていない業務についてご紹介いたします。

■RPAの種類その1:デスクトップ型

  • メリット:低コストですぐに使える
    サーバ型やクラウド型と比較すると、デスクトップ型はライセンス費が安いケースが多いです。また、RPAを動作させたいパソコンに導入すればすぐに使い始められるため、手軽に使い始めることが可能です。
  • デメリット:スケールさせたい場合、管理しにくい
    RPAを動作させたい数の分だけ動作環境とする端末を用意する必要があるため、RPAによる自動化が進むに従って動作環境としてのパソコン端末が増えていくと、その所在や処理が上手く動作しているかなどの管理がしにくくなります。
  • 向いている業務:個人がパソコン上で行っている業務
    データ入力やExcel/Word/PDFなどの資料作成など、個人で完結する業務の自動化や効率化に向いています。
  • 向いていない業務:複数の担当者が行う業務や大量のデータを扱う業務
    デスクトップ型は個人のデスクトップ上で動作するため、複数の担当者の確認が必要な業務や、データクレンジングなどの大量のデータを扱う業務など、複数端末での同時実行が必要になる業務や、個人のパソコンのスペックを超えるような業務の自動化や効率化には向いておりません。

■RPAの種類その2:サーバ型

  • メリット:複数同時実行が可能でスケールしやすい
    サーバ型のRPAは、サーバ上で並列稼働させることができます。複数の処理を同時に実行すれば、デスクトップ型よりも高速に処理を行うことが可能です。また、RPAの稼働状況を一元管理できます。これらの特徴からサーバ型RPAは、自動化対象とする業務や利用者が増えてもスケールしやすいといえます。
  • デメリット:導入コストが高い
    サーバ型の場合、自社にRPA用のサーバを用意する必要があるためインフラ費用が発生します。また、ライセンス費用もデスクトップ型と比較して高いと言えるでしょう。そしてサーバ上で動作することから、開発者や運用管理者に求められる技術レベルはデスクトップ型よりも高くなります。
  • 向いている業務:個人のパソコン上で完結できない業務
    組織を横断するような業務や、大量のデータを扱う業務に向いています。複数同時実行することによって、効率化が見込まれる業務に向いていると言えるでしょう。
  • 向いていない業務:デスクトップ型RPAで自動化可能な業務
    サーバ型RPAを使って個人のパソコン上で行う業務を自動化することは可能です。しかしサーバ型はデスクトップ型RPA に比べると、利用するコストが高くなります。つまり、デスクトップ型RPAで自動化可能な業務を、あえてサーバ型RPAを使って自動化するのは費用対効果に見合わないと言えるでしょう。

■RPAの種類その3:クラウド型

  • メリット:RPA用のパソコンやサーバなどのインフラを持たなくてよい
    クラウド型RPAは、クラウド上で動作します。そのためRPAを動作させるためのパソコンやサーバなどのインフラ環境を準備する必要がなく、RPAを実行するクラウドへアクセスできる環境であれば、場所を問わず利用できるメリットがあります。
  • デメリット:自社のセキュリティポリシーに適合しない可能性がある
    クラウド型RPAを利用する場合、RPAに関わる情報が社外(クラウド)に存在するため、自社のセキュリティポリシーに適合しない可能性があります。また、利用できたとしても、社内ネットワークでの利用に限定されているシステムの操作等は実現できない可能性が高いです。そのため情報漏洩のリスク等を考慮し、適切な開発・利用ルールの策定と順守の徹底が求められます。
  • 向いている業務:デスクトップ型と同じ個人のパソコンで完結できる業務
    デスクトップ型と同様、個人のパソコンで完結できる業務が向いています。特にWebサイトからの情報収集や操作など、Web上の操作のみで完結する業務が向いています。
  • 向いていない業務:秘匿性の高い情報やシステムを扱う業務
    クラウド型は社内ネットワークなど、特定の環境下でしか動作しないシステムや参照できないデータを操作するのが難しいケースが多くなります。そのようなシステムや情報を扱う業務は自動化できない場合があります。

■まとめ

RPAの種類について、「動作する場所」という観点から「デスクトップ型」「サーバ型」「クラウド型」の3種類に分けてご紹介いたしました。さいごに総括いたします!

  • デスクトップ型
    ・個人のPCで完結する業務の自動化に向いている。
    ・初期導入コストを抑えられるが、スケール時にRPA管理面で課題が生じやすい。
  • サーバ型
    ・大量のデータを扱う業務や組織を横断するような業務の自動化に向いている。
    ・大きな効果を生み出すRPAの作成が可能だが、サーバ等のインフラ運用管理が必要など、導入コストは高くなりがち。
  • クラウド型
    ・Webブラウザ上で完結する業務の自動化に向いている。
    ・クラウドに接続可能な環境さえ整えば、いつでもどこでも手軽に利用できるが、情報セキュリティリスクの懸念がある。

本記事が適切な種類のRPAを選ぶための一助となれば幸いです。

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